
サンゴに迫る危機とは?
サンゴを守ることが大切な理由と
私たちにできること
気づけば夏ですね!そろそろ旅行や海に行きたいと思っている方も多いかもしれません。今回は美しい海を愛する人にとっては気がかりな話題、「サンゴの危機」とサンゴを守る取り組みやエコツアーについて紹介します。
そもそもサンゴとは?
植物のようにも見えるサンゴですが、実はイソギンチャクやクラゲに近い動物。触手で動物プランクトンを捉えて食べています。
一方、エネルギーの大部分(50%~90%)は体内に共生している褐虫藻が光合成で生み出すエネルギーに頼っています。
この褐虫藻の働きがあるためサンゴは呼吸によって二酸化炭素を排出するだけではなく、二酸化炭素を吸収し酸素を排出することができるのです。
サンゴの重要性
・多くの生物に住処を提供している
海に住む生物の4分の1が生息しているとも言われ、海の外に住む生物の産卵場所や稚魚を育てる場所にもなっています。サンゴが絶滅すると、海洋生物の過半数がいなくなってしまうという予想も!
また、サンゴ礁が提供する豊かな漁場は1㎞で300人以上の暮らしを支えているとも言われ人にとっても非常に重要です。
・防波堤の役割を果たしている
サンゴによって形成されたサンゴ礁は台風による高波や津波を弱める働きをします。2004年に起きたスマトラ島沖地震でも津波が弱められたと報告されています。
・海水のCO2濃度調節に不可欠
共生している褐虫藻の光合成により二酸化炭素を吸収できるので、濃度調整に貢献しています。
サンゴはなぜ危機に瀕しているのか?
主に下記に挙げる3つの影響があると言われています。
1. オニヒトデなどの外敵による食害
2. 土砂や生活排水による海洋汚染
3. 海水温の上昇
特に、海水温の上昇は広範囲で大きな影響を与えています。
「サンゴの白化現象」という言葉を聞いたことはありますか?
白化は、何らかのストレスで褐虫藻が逃げ出してしまったり、死んでしまったりすることによってサンゴに色を与えている褐虫藻がいなくなりサンゴそのものの色に戻るために起こります。
サンゴは共生する褐虫藻からエネルギーをもらって生きているので、白化するとやがて死んでしまうのです。
私たちにできることは?
外敵、海洋汚染、さらには海水温の上昇と問題が大きすぎて「私たち個人にできることは何もないのではないか。」と思ってしまうかもしれませんが、実は私たちにできることもあるんです!
1.日焼け止めに気を遣う
日焼け止めに含まれる化学物質がサンゴやその他の海洋生物に悪影響を与えていると注目されるようになり、現在、特定の成分を含む日焼け止めの使用を制限する動きがあります。
詳しくはこちらをチェック
2.陸地の環境を整える活動に参加する
海洋汚染の1つの原因になっているのが表土の流出。それを防ぐことにつながるのが、植樹です。陸地に木を植えることでもサンゴを間接的に守ることに繋がるというのは少し意外ですね。
各地でエコツアーやボランティアとして植樹活動が行われているので、参加してみてはいかがでしょうか?
例えば、沖縄の石垣島にある「りんばな」では、サンゴを守る活動だけではなく、様々なエコツアーを行っています。
3.サンゴを移植する
サンゴを増やすために、サンゴの植え付けができるエコツアーに参加することも1つの方法です。
ダイビングライセンスを持っている方はもちろん、持っていない方にもできるサンゴの植え付けエコツアーがありますよ!
地道な活動ではありますが、環境を良くする一歩につながるはずですし、サンゴのことを詳しく知ることができるので、ますます海洋環境を守ことへの意識が向上するはずです。
エコツアーにはダイビングのアクティビティを含むものも多くありますが、ただ潜るだけではなく少しでも海の環境を良くすることに貢献できたら嬉しいですよね。
インターネットで探してみると、意外と世界各地でサンゴの植え付けができるツアーがあるようです。
「チーム美らサンゴ」では定期的にサンゴ植え付けツアーをやっています。
自分で植え付けに行くのは大変そうという方にはこんなプロジェクトも!
例えばタヒチの西にあるモーレア島で行われているプロジェクトでは、
ウェブサイトを通じてサンゴに名前をつけて寄付したり、サンゴ礁の植え付けを行うテーブルに名前をつけて寄付することができます。
ただお金を寄付するだけではなく名前が付けられるというのは素敵ですよね。

いかがでしたでしょうか。
サンゴに迫る危機とサンゴの重要性、私たちができることについて考えるきっかけになれば幸いです。
筆者も海が大好きです。環境問題というと大きな問題すぎて自分にできることはないと思ってしまいがちですが、「チリも積もれば山となる」という言葉があるように、私たち一人一人ができることをやっていきたいですね!
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【Sayaka】
趣味は旅行や読書。タイへの留学やフィリピンでのボランティアを経験し、東南アジアへの関心が高い。旅の中でオーバーツーリズムを実感することがあり、エコツーリズムに興味を持つ。日々学びながら情報発信中。

