
トリ・ヒタ・カラナ:
神・自然・人のバランス
を取り入れたバリ島の観光
バリ島には、「トリ・ヒタ・カラナ」という哲学的な概念があります。トリ・ヒタ・カラナ(幸福の3つの原因)とは、神、自然、人々との関係という人生の3つの主要な側面が調和して初めて平和と繁栄が達成されるという考え方。バリ人はこの哲学を、観光を含む日常生活に取り入れているのです。
学ぶことの多いバリ島文化
息を呑むような美しい自然、活気ある文化、そしてユニークな人生哲学で知られるバリ島。バリ島の文化や観光の基盤となっているのが、バリ島の「トリ・ヒタ・カラナ」という概念です。この哲学は、人生の幸福を達成するために、人間、環境、神との関係を重視するものです。
トリ・ヒタ・カラナとは
トリ・ヒタ・カラナの言葉にはそれぞれ意味があります。 Triは3つ、Hitaは繁栄、Karanaは原因。トリ・ヒタ・カラナの背景にあるバリ島の人生哲学には、パラヒャンガン、パウォンガン、パレマヘンという3つの要素があります。
パラヒャンガン=神との調和
パウォンガン=人々との調和
パレマヘン=自然との調和
「持続可能な開発目標(SDGs)」の3本柱である「環境」「社会」「経済」とも密接に関係しているトリ・ヒタ・カラナの理念。例えば、バリ島では1日あたり約4,281トンのゴミが出ています。これには、人口や市場から出る地元のゴミ、食事などから出る観光のゴミ、川やジャワ島から船の水流でバリ島のビーチに運ばれてくるゴミなどが含まれます。他にもバリ島には農業や水の危機、気候変動など様々な問題がありますが、こういった問題を克服するためにもこの理念は重要なのです。つまり、トリ・ヒタ・カラナは、観光を中心とした社会経済とのバランスを保ちつつ、バリの文化、地元の人々、環境の保護に貢献していると言えます。
灌漑用水を管理・共有する社会的共同水利システムであるスバックは、精神世界、人間世界、自然界をつなぐトリ・ヒタ・カラナを体現するシステムとして世界遺産にも登録されています。水の神殿の儀式は、自然界の生命維持の力に依存することを強調する儀式に人々が積極的に関わることで、人と自然の調和を促進すると言われています。
バリ島観光における実践例
トリ・ヒタ・カラナの哲学はバリ島の文化に欠かせないものであり、この地域の観光のあり方に大きな影響を与えています。
このバランスを保つことの重要性を理解し、日々実践しているバリ島の人々。開発を制限したり、天然資源を保護することによって環境を保護したりと、バリ島の人々は努力を重ねています。また、持続可能な観光を実践し、旅行者に地元の文化を尊重し、環境に与える影響を最小限に抑えるよう求めています。
また、バリ人は自分たちの文化を観光に生かすこともしています。伝統的な祭りを祝い、地元の習慣や信仰に関する知識を観光客と分かち合うのです。最終的に、トリ・ヒタ・カラナはバリの人々の生活様式であり、彼らの文化観光を成功させる重要な要因となっています。3つの側面を尊重することで、バリ人は平和で持続可能な生活を送りながら、自分たちの文化を世界中の観光客と共有することができるのです。
トリ・ヒタ・カラナ哲学から何を学ぶか
トリ・ヒタ・カラナはバリ文化の重要な概念であり、自然、社会、神と調和して生きるための指針となっています。この古代の知恵は何世代にもわたって引き継がれ、現代でもバリにとって不可欠なもの。バリ島を訪れる人々には、環境と地域社会に配慮したサステナブルな観光をするように促しています。
バリを観光する際、トリ・ヒタ・カラナは建築や人々の信念、芸術など、様々なところで見ることができます。トリ・ヒタ・カラナの概念は、観光客に島の美しさを堪能してもらうと同時に、環境や地域社会への影響に配慮することを促すものなのです。
トリ・ヒタ・カラナの哲学を尊重して旅をすることで、旅行者はバリの人々や自然に貢献するだけでなく、自分自身も「調和」という毎日の生活にも影響する大切なことを学ぶことができるでしょう。
トリ・ヒタ・カラナは、自然、人々、神という3つの中核的要素を組み合わせたバリ島独自の概念。このユニークな哲学は、人生の重要な3つの側面を調和させ、持続可能な観光を促しています。自然は物理的な環境、哲学は人々の精神的・道徳的な信念、文化は人々の習慣や伝統。この3つの側面の重要性を理解することで、バリの自然・文化遺産の美しさと意義をよりよく理解し、持続可能な観光開発を実現することができるのです。
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