
観光✖️SDGs:
地域のSDGsに対する取り組み
最近よく耳にする「SDGs」。
みなさんは、SDGsがいったい何なのかご存じですか?SDGsとは、日本語で「持続可能な発展目標」のこと。今、世界中の国々がさまざまな分野でこのSDGsに取り組んでいます。
実は、日本でもSDGsを実現するため全国各地で活動が行われており、観光の分野でもさまざまな取り組みが行われています。
今回は、日本国内のさまざまな地域におけるSDGsに対する取り組みをご紹介します。
SDGsってなに?
SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2030年を目途に持続可能でより良い世界を目指す国際目標。国際連盟で採択され、世界中の国々が、この目標のために活動を行っています。
17のゴール・169のターゲットから構成され、貧困や、生物多様性など、幅広い分野における持続可能性を目指しています。(関連記事はこちら)
目標1 [貧困] あらゆる場所あらゆる形態の 貧困を終わらせる
目標2 [飢餓] 飢餓を終わらせ、食料安全保障 及び栄養の改善を実現し、 持続可能な農業を促進する
目標3 [保健] あらゆる年齢のすべての人々の 健康的な生活を確保し、福祉を促進する
目標4 [教育] すべての人に包摂的かつ公正な質の高い 教育を確保し、生涯学習の機会を促進する
目標5 [ジェンダー] ジェンダー平等を達成し、 すべての女性及び女児の エンパワーメントを行う
目標6 [水・衛生] すべての人々の水と衛生の利用可能性と 持続可能な管理を確保する
目標7 [エネルギー] すべての人々の、安価かつ信頼できる 持続可能な近代的なエネルギーへの アクセスを確保する
目標8 [経済成長と雇用] 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての 人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある 人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
目標9 [インフラ、産業化、 イノベーション] 強靭(レジリエント)なインフラ構築、 包摂的かつ持続可能な産業化の促進 及びイノベーションの推進を図る
目標10 [不平等] 国内及び各国家間の不平等を是正する
目標11 [持続可能な都市] 包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で 持続可能な都市及び人間居住を実現する
目標12 [持続可能な消費と生産] 持続可能な消費生産形態を確保する
目標13 [気候変動] 気候変動及びその影響を軽減するための 緊急対策を講じる
目標14 [海洋資源] 持続可能な開発のために、海洋・海洋資源を 保全し、持続可能な形で利用する
目標15 [陸上資源] 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利 用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠 化への対処ならびに土地の劣化の阻止・ 回復及び生物多様性の損失を阻止する
目標16 [平和] 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会 を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提 供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責 MDGs 任のある包摂的な制度を構築する
目標17 [実施手段] 持続可能な開発のための実施手段を 強化し、グローバル・パートナーシップを 活性化する
日本でのSDGs達成に向けた取り組み
日本では、企業や自治体、NGOや教育機関など、様々な組織がSDGsに取り組んでいます。
政府は、SDGsに取り組む企業や自治体を積極的に評価しており、例えば、毎年SDGs達成に向けて優れた取り組みを行った企業や団体に贈る、「ジャパンSDGsアワード」や、優れた取り組みを提案する自治体に送る「SDGs未来都市」などがあります。
2020年の「ジャパンSDGsアワード」は、みんな電力株式会社が再生可能エネルギーを通じた地域間連携プロジェクトで最優秀賞を受賞。「SDGs未来都市」は、2008年から始まり、SDGs達成に向けた取り組みを提案している都市が国によって選定されます。
「誰一人取り残さない」をモットーに、健康や環境問題など、異分野横断的な政策がすすめられています!
観光×SDGs
コロナ禍において大打撃を受けている観光業界。観光業が活発化すれば、経済成長が期待できる一方で、環境破壊や感染拡大につながることもあります。観光業においても「持続可能性」は、今後重要なキーワードになっていくでしょう。
そこで今回は、観光とSDGsを共に取り組む自治体を2つご紹介します!
高知県の幡多地域
高知県の幡多地域では、SDGsの教育も兼ねた観光が行われています。SDGsのプログラムは3つあり、四万十川でトンボに触れ、人と自然の共生について考えたり、国立公園に選定されている足摺宇和海国立公園で豊かな自然環境と生態系を学んだり、そして、「柏島の里海」で、生物多様性や生態系サービス(NCP)に触れたり。
自分たちが今からできることは何か、を実際に体験して楽しく学ぶことが出来ます。
愛媛県の道後
皆さんご存じ、温泉の名地である愛媛県の道後。
道後では、道後御湯と地域のつながり、自然環境保全の意識、そしてSDGsを生かした「道後御湯ブランド」の確立に取り組んでいます。
例えば、宿泊施設において全てLED化したり、太陽光パネルを設置して再生可能エネルギーによる発電量を増やしたりしています。
また、食材はほぼ全て愛媛県内もしくは四国県内の三品を使用し、地産地消を心がけています。
さらに、環境の分野だけでなく、愛媛の伝統工芸品を館内に取り入れたり、道後温泉の引き湯を利用した「現代湯治」を体感したりと、文化も持続可能に。
国モデルにもなったSDGsの取り組み
日本では、よりSDGsを推進すべく、「環境未来都市」構想を計画しています。「環境未来都市」構想は、環境分野、社会分野、経済分野に注目し、分野統合アプローチを取ることを目的としています。そして、成功事例を創出し、国内外に普及展開するトップランナー的アプローチを目指します。
今回は、環境未来都市構想に取り組む地域を2箇所ご紹介します。
茨城県 つくば市
つくば市では、2020年3月に持続可能都市宣言を行い、SDGs達成の寄与に努めています。地域資源を最大限に活用し、低炭素化と持続的発展を両立する都市で23都市が選定されている「環境モデル都市」の1つでもある、つくば市。
人々の暮らしに起因するCO2を重点的に削減するモデル「つくば環境スタイル“SMILe”」を勧め、コミュニティエコライフ(Smart Community)、モビリティ・交通 (Mobility Traffic) 最先端技術 (Innovation&Technology) そして、環境教育、実践 (Learning&Education) の4分野でCO2削減に取り組む、低炭素で市民が”SMILe”になる町の実現を目指しています。
そんなつくば市は、観光地としてもたくさんの魅力があります!
まず、都心から電車で最速45分と、アクセスが良いこと。
そして、筑波山で登山をしたり、夜にケーブルカーに乗って日本夜景遺産に登録される絶景をみたりすることができます。
また、「つくば道」を歩いてつくばの歴史に触れる旅も魅力的!道中たくさんの史跡を訪れて、昔の雰囲気を味わうのはいかがでしょうか。
岩手県釜石市
釜石市は、東日本大震災により1度、都市存亡の危機に直面しましたが、豊富な資源と、地域の持つ潜在的な力、自然を生かし、新たな街づくりに励みました。2020年には、「世界の持続可能な観光地100選 2020」に選出されるなど、国際的にもサステイナブル・ツーリズムとしての評価が高い釜石市。
国によって選定されている11の「環境未来都市」の1つでもあります。
釜石市には、オススメの観光スポットがあります。
それが、三陸復興国立公園。ここには、優美なリアス海岸が続いています。ウミネコや、オオミズナギドリなどの海鳥が見られ、海洋の生物多様性を守る重要な場でもあります。さらに、釜石港では新鮮な海の幸を味わうこともできます。
中でも、三陸ジオパークでは、釜石鉱山や橋野高炉跡など、歴史的な建造物を見ることが出来るほか、自然の強さを感じ、防災教育も学べます。
詳しくはこちらの記事もご覧ください。
持続可能な社会を目指して
このように、地域によって様々な取り組み方があるSDGs。
そんなSDGsへの取り組みに力を入れている地域を訪れることで、私たち旅行者も、旅行を通して楽しみながらSDGsに貢献することができます。
そしてSDGsに取り組むことで、持続可能な世界に貢献するだけでなく、地域の活性化にもつながるので、たくさんのメリットがあると言えます。
アフターコロナでは、今回ご紹介したSDGsに取り組む地域を旅行先に選んでみるなど、SDGsを意識した旅も検討してみてはいかがでしょうか?
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【Tam】
気候変動の分野に関心を持ち、持続可能性の促進に向けた体制作りを勉強中。
様々な分野でのサステナビリティを目指し、エコツーリズムも一つの方法として発信している。

