
持続可能な旅行と地球規模の気候変動
気候変動は地球全体、つまり私たち全員に影響を及ぼしますが、それでも私たちの社会では気候変動に本気で対応していないと思いませんか。
かつて東南アジアで楽しい休暇を過ごした人は、海面が年間約5mmずつ上昇しているため、将来は同じような休暇を過ごすことができないかもしれません。こういった現象の原因の一つが、観光客の増加。ホテルによる地下水抽出にさらに圧力をかけ、地下水位がさらに低下するためです。このように実質的な影響が出てきていることで、近年持続可能な旅行への需要が高まっています。
観光は、地球規模の気候変動に対して他にも影響を及ぼしています。
旅行には移動が伴います。長い車の旅、電車の旅、さらには飛行機で移動することもあります。例えば、飛行機は非常に大量の二酸化炭素を排出します。電車で旅行するか、単に長い旅を避ける方が良いでしょう。特に国内旅行であれば、多くの場合、飛行機ではなく電車や長距離バスに置き換えることができます。
そして、大きな温水プールのある大きなホテル、または冬の始めや終わりに人工雪製造システムを使ってスキーを楽しむ旅行。こういった場所も、二酸化炭素が大量に排出されていますが、私たち旅行者はあまり気づかずに利用している可能性があります。
作り出す過程で非常に多くの資源を消費する人工雪。 1ヘクタールの人工雪に対して、1シーズンで470万リットル以上の水が使用されます。これは、地球規模の気候変動に2つの影響を及ぼします。第一に、人工雪に必要な水は通常地下水から抽出され、第二に、雪の量とそれに伴う雪解け水の量は、水のバランスに大きく影響します。
モルディブの事例
マス・ツーリズムと気候変動の影響をますます受けているのがモルディブのような島国。モルディブは、海面上昇によって真っ先に水没する国のひとつになると言われています。そのため、モルディブは地球の気候変動に対抗するために、すでに行動を起こしています。モルディブの人々は化石燃料の使用を止め、環境のためのエコ税が課されています。
さらに、モルディブが観光客に協力の機会を提供しているのが、サンゴの保護。海洋生物学者と一緒にサンゴを植えたり、飼育したりするプログラムを支援したりしています。また、モルディブの多くのホテルでは、太陽光発電による持続可能なエネルギーの供給や、独自の浄水システムを備えています。
旅行は慎重に選ぼう
地球のために、私たちの将来のために、環境に配慮した持続可能な方法で旅行したい場合は、どこに行きたいのか、そして何よりもどのようにそこに行くかを、事前によく考える必要があります。旅行会社によっては、気候変動対策に力を入れているところもあるので、旅行前にどの旅行会社が環境への対策により力を入れていて配慮したツアーを企画しているか下調べすることをお勧めします。
そして、自分の住んでいる地域にも、美しい場所があるはず。特に、現在はほとんどの国境が閉鎖されているので、日本を探索してみてはいかがでしょうか。
今後旅行が再開した時、遠方への旅行をする場合は、自分の旅行によって排出されるCO2を直接オフセットしたり、気候変動対策に熱心な旅行会社を利用することで環境への負荷を軽減することができます。現在、多くの旅行会社や航空会社が、オフセットのオプションを提供しているので、利用してみましょう。
また、もしそう言った取り組みをしていない旅行会社や航空会社があれば、意見を言ってみることも必要です。お客様あっての商売ですから、環境への意識の高まりを受けて、彼らも変わらなければならないことに気づくきっかけになるかもしれません。
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