サメ
エコツアー

ダイビングでサメを保護しよう

サメというと怖いイメージがありますよね。ジンベイザメとのダイビングやシャークダイビングなど、サメを鑑賞するダイビングツアーがありますが、なんでそんな怖いものをわざわざ見ようとするの!?という人も多いかもしれません。実は、そんなサメを鑑賞するダイビングで、サメや海洋生物の保護に貢献できるんです。きちんと管理された環境で行われるシャークダイビングは、海洋生物に触ることがなく、直接的な悪影響を及ぼさない環境に優しいアクティビティなのです。

海洋野生生物を保護するという共通の目標のもと、今世界中でサメの保護区や海洋野生生物の保護区が作られています。サンゴの保護区などと同様に、サメの保護区では海洋野生生物と接触することなく、遠くから鑑賞する形でサメと一緒にダイビングできる可能性が高くなります。こういったサメを鑑賞するダイビンングツアーは、エコツアーや海洋保護活動の分野でより増えてきています。

サメを保護する必要がある理由

ハリウッド映画の影響で、サメは多くの人に「海の悪者」であると思われています。毎年世界のニュースでもサメに攻撃された事件が報道され、サメは怖い生き物という印象が強くなっています。サメによる襲撃事件は世界的にメディアの注目を浴びるので、実際には全世界で1年間に27件程ですが、この数を知らなければ世界中で毎日のように襲われていると思ってしまう人もいるかもしれません。サメは自分たちの生息地で生活しているにもかかわらず、サメは悪者であるという思い込みは漁師たちがサメに酷い扱いをすることを正当化してしまっています。さらに、サメはヒレやその他の部位が非常に高く売れる闇市場で価値があるため、サメの密猟が発生しやすくなっているのです。

サメへの最大の脅威の1つは、密猟とサメの捕獲。フカヒレのスープは世界中で人気の珍味。残念ながら、この人気により何百万ものサメが捕獲され、そのヒレが取り除かれ傷ついたサメが海に放たれ、死んでしまっています。海洋生物の生態系バランスが維持されるためには、サメをこのような密猟や狩猟活動から保護する必要があります。

海は非常に微妙にバランスの取れた生態系で構成されています。生態系が何らかの問題で大きく乱れている場合、もっと大きな問題が起こっている可能性があるのです。サメは食物連鎖に必要であり、ほとんどの場合、捕食者の役割​​を果たしています。

サメを保護するための持続可能な取り組みとは?

国連環境計画(UNEP)は、人気のダイビングスポットでサンゴを含む海洋野生生物を保護することを目的とした、グリーンフィンと呼ばれるプロジェクトを立ち上げました。多くのダイビングエコツアー会社や全国の観光協会がグリーンフィンに参加しており、持続可能なエコツーリズムや保護ダイビング、​​スキューバダイビングに関する国際的なネットワークを構築しています。グリーンフィンと提携している会社はウェブサイトに掲載されているため、環境に優しいサメツアーに参加したい旅行者は、上記のグリーンフィンのウェブサイトで信頼できるエコツアーダイビング会社を確認することをお勧めします。

海洋生物の多様性の素晴らしさで知られるパラオでは、大統領が2009年にサメ保護区の計画を発表し、活動を開始しました。パラオ国立海洋保護区は600,000平方キロメートルという面積をカバーしており、サメの保護区としては世界最大です。地元のすべての海洋生物をありのままの状態で保護地域に維持するため、この地域は2014年に漁業禁止区域に指定されました。これにより、推定135種のサメが保護されるだけでなく、サンゴ礁やその他すべての固有の海洋野生生物の保護にも役立っています。

フィリピンでは、カナダのビクトリア大学とフィリピン大海洋脊椎動物研究所(LAMAVE)の研究者が、オスロブ、ドンソル、ピントゥヤンの3か所で調査を実施しました。そこで持続可能なサメ鑑賞ダイビングツアーに参加した旅行者にインタビューしたところ、ダイビングツアーは海洋保護に対する考えや態度を変えたことがわかりました。この調査によって、エコツアーがサメの認識を変えただけでなく、地元の経済と生活の質も改善することに繋がったことがわかりました。


サステナブルなサメ鑑賞ダイビング

ダイビングツアーの行き先を選んだり、ツアー会社を利用する際、以下のことを認識して参加することにより、サメ鑑賞ダイビングツアーなどのアクティビティをより環境に優しいアクティビティにすることができます。

・定期的なダイビングツアー予約によるツアー料金や寄付を通じて、海洋保護区の保護活動に貢献することができます。

・海洋生物保護プロジェクトと提携している認証を受けたエコツアーまたはダイビング会社を利用しましょう。

・海洋生物にストレスやダメージを与えないように直接触ったり追い回すような行為はせず、海洋野生生物と一定の距離を保って観察しましょう。

ピューリサーチセンターによると、海洋生物が豊富なパラオなどの海洋保護区では、地元の漁師や地元の経済に直接影響を及ぼし、保護区内だけでなく周辺海域の魚資源も拡大します。その結果、地元の漁師によって地元の魚がよく取れるようになり、輸入に頼る必要がなくなります。

・研究による教育の恩恵が受けられます。海洋生物学者は、自然な環境で海洋野生生物を受動的に観察できるように、地域を保護します。保護されたエリアはより正確な研究ができる場所となり、研究により多くのことがわかるようになります。

私たちにできること

サメ鑑賞ダイビングツアーは、旅行者が楽しみながら、海洋保護活動に貢献できる一つの方法です。世界中のダイビングスポットがグリーンフィンに参加しているので、ダイビングに興味のある人は是非対象のエリアに行ってみてください。グリーンフィンの海洋エコツアーメンバーには例えばこんなところがあります。

ティオマンダイブセンター(マレーシア)

ヌサレンボンガン(インドネシア)

マラパスクア島(フィリピン)

アドベンチャーアンティグア(アンティグア)

ガレオンダイバーズ(スペイン)

デイビージョーンズロッカーダイビング(​​タイ)

サメの保護に貢献できる方法はたくさんあります。 1つは、海洋保護に積極的なエリアやエコツアー会社のダイビングツアーに参加すること。他には、フカヒレスープなど、サメの密猟に関連する商品の購入を控えることなどです。

楽しい時間を過ごし、多くのことを学び思い出に残る経験をしながら、環境に優しいアクティビティをしてみましょう!

環境に優しい旅についてもっと知りたいですか?
次の旅のインスピレーションに、忙しい毎日のちょっとした息抜きに。
Ecotourism Worldのニュースレター配信登録はこちら