川
環境問題

きれいな川を旅したい!世界の河川汚染

みなさんの家の近くに川は流れていますか?日本には3万以上の川があります。リフレッシュしたり、釣りやアクティビティをしたりしに川に行くこともあれば、私たちが飲む水や洗濯水などの生活用水はすべて川の水。そんな私たちの身近にあってたくさんの恵みを与えてくれる川ですが、実は汚染の危機にさらされています。川をきれいにするにはどうすればよいのか、考えてみましょう!

皆さんは世界で最も汚染された川を知っていますか?

インドネシアのチタルム川には、大量の廃棄物やプラスチックごみが浮いているにも関わらず、首都ジャカルタの約80%の住民がこの水を利用しています。

世界的に、30億人以上の人が川や池の不明な水質が原因で病気になるリスクがあると言われています。さらに、89カ国で75,000以上の水域を調査し、40%以上が深刻な汚染を受けていることも分かっています。そして、世界には多くの地域で清潔な水が手に入らない状況にあります。

こういったデータを見ると、私たちが今享受している新鮮な水は貴重なものだと感じますね。

国際連合(UN)は、SDGsのNo.6にきれいな水と衛生(Clean water and sanitation)を掲げています。人間活動が原因の排水の約80%が汚染除去なしに川や海に排出されている現状を踏まえ、「2030年までにすべての人に安全で手頃な価格の飲料水への普遍的で公平なアクセスを実現する」といった目標が定められました。

今回は、きれいな川を目指すために私たちはどうすればいいのか、世界の取り組みも交えてご紹介したいと思います!

日本の川の現状

河川汚染は日本も例外ではありません。皆さんも、汚れていたり、ゴミが浮いたりしている川を見たことはないでしょうか。

実は、国内の河川には推定4000万本以上のペットボトルが捨てられています。海洋プラスチックの問題は広く知られていますが、実は川にもたくさんのプラスチックごみがあります。海ごみの約7割は川を通じて海に流れていくといわれており、拾うだけでは対処しきれない量が存在しているのが実情です。

河川汚染の原因は大きく3つ、①産業排水②生活排水③気候変動。特に最近は気候変動への関心が高まっていますが、気候変動は河川汚染にも繋がっているのです。気候変動によって降水量が増加すると、窒素の増加により富栄養化を起こし、生態系はもちろん、私たちの健康にも害を及ぼしてしまいます。

しかし、排水規制が行き届いていない地域があるものの、全体的に見ると水質改善がみられている日本の河川。排水規制や下水道整備が進んだことや、各地域や家庭で生活排水の汚れを減らす取り組みが行われていることなどが理由だと言われています。

例えば埼玉中部から東京の北東部にまたがって流れる綾瀬川は、高度経済成長期に全国で一番汚い川になってしまいましたが、綾瀬川清流ルネッサンス2地域協議会など地域の協力で川の実情を伝える啓発活動をしたり、浄化施設を設置したりしたことによって少しずつきれいな川を取り戻しています。定期的に埼玉県が主体となって地域の方に綾瀬川の実体を身近に感じてもらうことで、市民の方も少しずつきれいな川にしたい、生き物の多い川にしたいという思いが強くなっているようです。

特に、昭和40年代には100mg /Lを超えていた水質が、近年は汚い川では生息維持が困難と言われる、「アユが住むことができる水質」と言われる3mg /Lを下回っています。市民の意識で少しずつ川がきれいになっている成果が見られるようです。

では、世界ではでどんな取り組みがあるのか見てみましょう!

きれいな川を目指した取り組み

世界の河川汚染問題に取り組む団体や運動を2つご紹介します。

■The Ocean Cleanup

The Ocean Cleanup は、非営利団体で2013年にオランダで設立した川のプラスチック問題に取り組む団体。海のプラスチックを90%削減することを目指し、海につながる川のプラスチック問題に積極的に取り組んでいます。

また、5年の間に世界で最も汚れている川1000箇所の水質改善に取り組むという目標を掲げており、最先端のテクノロジーを用いてきれいな川を目指し、積極的に活動しています。

■River of life

River of life は、マレーシア政府による約7年にわたるプロジェクト。2011年に開始され、2020年に完了が予定されており、マレーシアを流れるクラン川を鮮やかで新鮮な水辺に変えることを目指しています。クラン川は、マレーシアの首都であるクアラルンプールを流れる都市河川。約146,000人の多くの市民が利用するこの川に水質を改善することを主目的としたプロジェクトです。川をきれいにすることで、観光地としても発展させる狙いがあり、地域活性化を促進する狙いもあります。主に活動内容は3つ、①川の浄化②川の美化③河川開発とツーリズム。

川をきれいにすることで、公共衛生の質も向上する上、観光地としての役割も果たす、まさに一石二鳥の運動ですね!

世界の美しい川

皆さんは世界で一番美しい川と聞くとどの川を思い浮かべますか?世界中にはたくさんのきれいな川が存在します。今回は世界のきれいな川3選を紹介します。

1.カーニョ・クリスタレス in コロンビア

この川は何といっても鮮やかな5色の美しい彩りが最大の特徴。虹の川とも呼ばれ赤・黄・緑・ピンクなどとてもカラフルな色合いが見られます。川にある藻などによって色が変わっているのですが、まるで空想の世界に入ったかのような絶景が広がっています。

2.ネレトヴァ川 in ボスニア・ヘルツェゴビナ

きれいなエメラルドグリーンのネレトヴァ川はボスニアヘルツェゴビナやクロアチアの貴重な天然資源としても重要な川です。ヨーロッパの美しい建物と共に自然美や美しい自然景観が見られます。

3.プラタ川 in ブラジル

世界一の透明度といわれるブラジルのプラタ川。川の中の様子がはっきりと見えることから天然の水族館とも称されるほど。アクティビティも充実しているプラタ川では、フローティングといって自分で泳がずに川の流れに身を任せて文字通り浮くだけのアクティビティを楽しめます。また、プラタ川周辺は野鳥観察のメッカである他、世界遺産に登録されている南パンタナールもあり、たくさんの見どころがあります。

美しくきれいな川とともに

国連では毎年3月22日を世界の水の日(World Water Day)と定め、貴重な水の役割を再認識する機会を設けています。私たちの身近にある川をきれいにするために、ごみを川に捨てない、油を直接水道で流さないようにするなど、毎日の生活の中でできることを意識的に実践していきたいですね。川がきれいだと魚も住みやすくなり、生態系にもいい影響を与えます。そして、なによりきれいな川を見ると私たちも気持ちいいですよね!きれいな川の状態を保てるように、私たちにできることを心がけていきましょう。

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【Tam】
気候変動の分野に関心を持ち、持続可能性の促進に向けた体制作りを勉強中。
様々な分野でのサステナビリティを目指し、エコツーリズムも一つの方法として発信している。