
ビーチに行くなら必須!
サンゴに優しい日焼け止め
旅行で綺麗なビーチに行った時、太陽がさんさんと輝いていたら多くの人は日焼けしないように自分の肌に気を使いますね。そんな時、私たちが使用している製品が環境にどんな影響を与えているか考えることはめったにないのではないでしょうか。
実は、私たちが何気なく使っている日焼け止めがサンゴ礁にダメージを与えているのです。
ニュースやドキュメンタリー番組で、海水の温度の上昇によりサンゴ礁が死滅しているという状況について見たことがある人もいるかもしれません。しかし、同時に私たちも美しいサンゴ礁を傷つけているということに気付いていたでしょうか。
日焼け止めがサンゴに与える影響
長い間、海洋生物学者と自然科学者は、かつて豊かだったサンゴ礁を失いつつあると警告してきました。多くの日焼け止めは、サンゴ礁に損傷を引き起こすと報告されています。
ナショナルジオグラフィックによると、年間約14,000トンの日焼け止めが海に流れ落ちると言われています。日焼け止めが海に悪影響を及ぼすとすると、私たちは気づかぬ間にものすごい量の毒を流し込んでいることになります。
最も知られているサンゴ礁に害を及ぼす成分は、化学物質オキシベンゾンとオクチノキサート(日本では、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルと呼ばれる紫外線吸収剤)。この2つは日焼け止め製品によく使用される化学物質ですが、環境に悪影響を及ぼす化学物質はこれだけではありません。オクトクリレン、ホモサレート、オクチサレートなど、海洋生物に有害で繊細なサンゴ礁システムにも損傷を与える可能性がある多くの化学物質があり、サンゴ礁に優しい日焼け止めという名前がついていたとしても含まれているものもあります。たとえば、the Total Environmentというサイエンス誌に2014年に発表された研究では、オクトクリレンがゼブラフィッシュの脳と肝臓の発達に影響を与える可能性があることがわかりました。これらの化学物質は、オキシベンゾンおよびオクチノキサートとともに、世界中のさまざまな魚種で検出可能なレベルで発見されています。
なぜサンゴ礁がダメージを受けるのか
サンゴは吸収性の高い生き物。このスポンジのような性質で、周囲の水から可能な限り多くの栄養素を吸収するため、害のある化学物質も吸収してしまいます。たとえば、化学物質オキシベンゾンにはサンゴの成長を妨げる効果があり、「ブリーチング」と呼ばれるサンゴの白化現象が起こります。そして感染に弱いサンゴは、DNAを損傷してしまうこともあります。
最も一般的なのは、日焼け止めを塗ってから海に泳ぎに行くこと。これにより、日焼け止めが人の体から海水に洗い流されます。 他にも、日焼け止めを塗った状態で砂の上に座ったりすることで、砂に残った日焼け止めが後で高潮によって海に流れ込んでしまいます。
サンゴに優しい日焼け止め
強い日差しの下にいると皮膚がんになる可能性もあるため、海には入りたいけれど、皮膚を完全に保護しながらサンゴにできるだけダメージを与えたくないという人はどうしても日焼け止めを塗りたいと思うでしょう。
そういった人は、ぜひ「サンゴ礁に優しい日焼け止め」を使ってみてください。
日焼け止め自体、サンゴや海洋生物にとって悪影響を及ぼす化学物質を含んでいるのですが、特にサンゴにとってよくないと実証されているオキシベンゾンまたはオクチノキサートなどを含む従来の日焼け止めではなく、せめてサンゴ礁に優しい日焼け止めを使いましょう。
そして「ナノ化されていない」(成分が直径100ナノメートル以上であることを意味する)酸化亜鉛または二酸化チタンを含むミネラルサンスクリーンは、比較的安全であるようです。
しかし、「サンゴ礁に優しい」という用語には定義がないため、政府によって厳密に規制されていません。これは、日焼け止めメーカーがそのような製品が水生生物に害を及ぼさないことをテストして実証する必要がないことを意味します。そして、こういった実証テストに合格した日焼け止めを見つけたとしても、水中の濃度が十分に高くなると、まだ有害である可能性があります。
1つのビーチで5,000人が海に入っているような状況なので、たとえ比較的安全なものを使っているとしても、ほとんどの日焼け止め製品は海洋生物に何らかの悪影響を引き起こす可能性があるのです。

また、世界中で環境保護の動きが加速しており、2018年7月、ハワイはオキシベンゾンまたはオクチノキサートの化学物質を含む日焼け止めの販売を禁止したアメリカで最初の州になりました。また、フロリダ州でもこれらの成分を含む日焼け止めの販売を禁止関する投票が行われ、2021年に法律が施行される予定です。他の一部のデスティネーションでも有害な製品の使用を防止する法的措置を講じています。
サンゴ礁に優しい日焼け止めは簡単にオンラインで購入することができるので、海に行く予定がある場合は事前に購入して行きましょう。日本でどうしても買えず現地で購入する場合は、薬局やスーパーなどでサンゴ礁に優しい日焼け止めという意味のReef Friendly Sunscreen (リーフ・フレンドリー・サンスクリーン)はどこで買えますか?と聞いてみましょう。 自分が何気なく使用している製品が環境にどんな影響を与えているか考えてみましょうね。しっかりと意識して購入することで、環境にプラスの影響を与えることができますよ。
海にとって一番よいのは?
ビーチにいるだけなのであれば、日焼け止めは使わずに、ビーチパラソルや麦わら帽子にサングラス、薄い長袖の綿の衣類の使用が一番。もし海に入るのであれば、UPF(紫外線保護係数)のスイムウェアを着たり、またはTシャツを着た状態で水に入ることです。露出した肌に日焼け止めを塗る必要がありますが、水着の場合よりもはるかに少ない量(最大半分の量)で済むのです。その場合もサンゴに優しい日焼け止めを塗るようにしてくださいね。
世界のサンゴ礁がさらに損なわれることを防ぐために、私たち一人一人が意識して行動を取る必要があります。今度海に行く時は、サンゴ礁に優しい日焼け止めを持参してみてくださいね!
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