プラスチックボトル ゴミ
環境問題,  自然保護

プラスチックゴミ問題と便利なサービス

最近プラスチックゴミ問題について耳にすることが増えましたが、どれくらい深刻なのか気になりますよね。

2016年、各国首脳、企業経営者、国際機関の長など2,000人以上が経済、安全保障、エネルギー、最新技術など多岐にわたる議論をしたダボス会議では、下記のことが指摘されました。

・世界の海には毎年500ミリリットルのペットボトル5000億本に相当するプラスチックゴミが流出

・2050年にはプラスチックゴミの量が魚の量を越える

さらに衝撃的なことに、「太平洋ゴミベルト」という海流によって流されたプラスチックが海にたまっている面積の広さは、なんと日本の国土の4倍!世界的な問題となっています。

日本のプラスチック消費量は年間約1,000万トンで、1人あたり年間70㎏以上消費しています。石油を使用して作られリサイクルにもエネルギーが必要なプラスチック製品。プラスチック製品を購入しない、リサイクルするなど、私たち消費者もプラスチックゴミを減らす行動が求められているのです。


ゼロプラスチックの動き

日本でも2020年にレジ袋が有料化されましたが、世界ではプラスチックゼロの動きが日本以上に急速に広がっています。

フランス

フランスでは使い捨てのプラスチック製カップやお皿を禁止する法律が、世界で初めて制定されました。(2021年1月施行予定)

背景には、フランスで廃棄される使い捨てカップは毎秒150個、さらにポリプロピレンとスチレン樹脂を混ぜていることが主な原因でリサイクルされるのはわずか1%という現実があります(2016年時点)。そして、すべての使い捨て食器類については、家庭用コンポストで堆肥化できる生物由来の素材を50%使うことを義務付けるなど、プラスチック製品の中でまずは使い捨てのものを廃止していく動きが進んでいます。

オランダ

オランダでは2018年、世界で初めてスーパーにプラスチックを使わない商品700点が並ぶプラスチックゼロの売り場ができました。食品の包装には生物分解可能なバイオ素材の他、ガラス、金属、段ボールなどが使われており、このスーパーマーケットではオランダで展開している74点全店にプラスチック一掃の売り場を設けることを目指しています。

イギリス

プラスチックごみを2042年までに一掃する方針を打ち出しています。

すでに行われている対策としては、2015年にはプラスチックのレジ袋を有料化(約7円)、現在は1枚約14円に値上げしており、1年間でレジ袋を60億枚も削減することに成功しています。

個人レベルの活動も活発化しており、英プロサッカーチームに所属する選手夫妻は、イングランド南西部にごみゼロを掲げる店を開店。買い物客に対して自前の容器の持ち込みを呼びかけ、ドライフードから食器洗い用の液体洗剤まで200点あまりのオーガニック製品を量り売りで販売しています。

ケニア

意外にもアフリカでは、2019年時点で34ヵ国以上がレジ袋を廃止するなどの規制が進んでおり、世界をリードしています。

中でもケニアでは、製造・販売・輸入だけでなく、レジ袋を使用した場合も4年の禁固刑もしくは最高4万ドルの罰金刑となる可能性があるという非常に厳しい禁止令を出されています。

マイボトルと便利なサービス

さて、プラスチックといえば、ペットボトルが身近ですよね。リサイクル率は84.8%と、ヨーロッパの40%、アメリカの20%と比較すると高いものの、日本で出荷されるペットボトルは227億本(2017年)と非常に多いのが現状です。リサイクルにもエネルギーが使われることを考えると、代わりに再利用可能なものを使った方が良いでしょう。

また、リサイクルについては、中国が2018年に廃プラスチックの受け入れを拒否したように、今まで海外に頼っていた廃プラスチックの輸出ができなくなる可能性もあり、ゴミ自体を減らす努力が必要です。

ペットボトルゴミを簡単に減らす方法の一つはマイボトルではないでしょうか。空になると邪魔になってしまうマイボトルですが、便利なサービスが出てきています。

無印良品

無印良品では、2020年7月に給水サービスを開始。全国130店舗以上に給水機を設置しています。

また、専用アプリ「水-Muji Life」を使えば、地図上で給水ポイントを確認できます。

水に溶かして使える粉末のお茶も取り揃えているため、水だけでなくお茶も楽しめそうです。

IKEA

もともと店舗内のレストランやカフェで無料の水が飲めるようになっていましたが、mymizuというアプリに全店が登録されました。

mymizuにはIKEAだけではなく公共施設の給水スポットなども数多く載っているので、近くにIKEAの店舗が無い方もダウンロードしてみると便利かもしれません。

象印

象印のホームページでは、水ではなく注文したお茶をボトルに入れてくれるお店を見つけることができます。全国展開しているカフェでコーヒーを入れてくれるお店もありますが、お茶を入れてくれるお店はあまり見かけません。登録されている店舗数はそこまで多くありませんが、試しに探してみると近所や頻繁に行く場所の近くにあるかもしれませんよ。

飲み物だけではなく洗剤でも

イギリスの事例でも紹介した通り、他の容器の量り売りも少しずつ広がっています。

ニュージーランドのブランド「ecostore(エコストア)」ではいくつかの店舗で洗剤の量り売りをしており、ナチュラルローソンなど、コンビニでの洗剤量り売りも2020年8月から実験的に始めています。

行動を変えてみませんか?

レジ袋が有料になって数か月、街にはあっという間にマイバッグを持つ人が増えました。

お洒落な布マスクをつけている人もたくさんいます。

深刻なプラスチックごみ問題だけでなく、食品ロスなどごみ問題は身近にあふれています。

環境に配慮できるサービスを近所や旅行先で探して、我慢するだけではなく楽しみながらもっと物を使い捨てない暮らしや旅行を始めてみませんか?

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【Sayaka】
趣味は旅行や読書。タイへの留学やフィリピンでのボランティアを経験し、東南アジアへの関心が高い。旅の中でオーバーツーリズムを実感することがあり、エコツーリズムに興味を持つ。日々学びながら情報発信中。