
プラスチックゴミの島:
海洋と健康に悪影響を及ぼす世界の問題
プラスチックゴミの島は、海のゴミ箱とも呼ばれ、世界レベルで早急な対策が必要な重要な問題になっています。プラスチックゴミの島とは、海に浮ぶプラスチックごみの大規模な集合体。海流や風のパターンによって形成されています。
プラスチック廃棄物による海洋汚染は、私たちが今日直面している重大な環境問題。環境と人間の健康に壊滅的な影響を与えることは否定できません。毎年、約800万トンのプラスチックが海に流れ着き、2050年には、魚よりもプラスチックの方が多くなると推定されています。その結果、世界中に数多くのプラスチックゴミの島が形成され、中には1つの国の大きさに相当するものもあります。
海のゴミベルトの例
太平洋ゴミベルト
ハワイとカリフォルニアの間に位置する太平洋のゴミだめは、世界でも有数のプラスチックゴミの島。面積は160万平方キロメートル以上、フランスの3倍もの大きさです。ペットボトルやプラスチック袋、マイクロプラスチックなど、何百万トンものプラスチック廃棄物が溜まっています。
インド洋ゴミベルト
アフリカの沖合にあるインド洋のゴミだめも、プラスチックゴミの島として有名です。アメリカテキサス州の2倍の大きさで、130万トンのプラスチック廃棄物が集結していると推定されています。
北太平洋の亜熱帯ジャイア
北太平洋亜熱帯ジャイアは、太平洋ゴミの渦とも呼ばれる、日本とハワイの間に位置するプラスチックゴミの島。アメリカテキサス州程の大きさと推定され、推定8万トンのプラスチックゴミが溜まっています。
プラスチックゴミの島は海洋生物に深刻な影響を与えます。それは、魚やその他の海洋生物はプラスチックを餌と勘違いすることが多いから。その結果、プラスチックは食物連鎖に入り込み、多数の海洋生物の生存に深刻な脅威を与えています。プラスチックを飲み込むと消化器官が詰まり、餓死や窒息に至ることも。
またプラスチック汚染は、水の化学的性質を変化させ、海洋生物の生息環境にダメージを与えるため、海洋生態系の健全性に悪影響を及ぼします。さらに、プラスチック廃棄物は有毒な化学物質を水中に放出するため、海洋生物と人間の健康の両方に有害な影響を及ぼす可能性もあります。これらの化学物質やマイクロプラスチックは、海洋生物の組織に蓄積され、最終的には私たちの食卓に上ることになります。
海洋汚染に対処するためには、政府や企業、個人が協力してプラスチック廃棄物を削減する必要があります。そのために必要なことは何でしょうか。
・プラスチック、特にストロー、プラスチック袋、ボトルなどの使い捨てプラスチックの生産と消費を減らす。
・リサイクル方法を改善することで、海に流れ着くプラスチック廃棄物の量を減らす。
・プラスチック汚染を防ぐために、使い捨てプラスチックの持続可能な他の選択肢を開発すること。例えば、生分解性プラスチックは自然に分解され、海から出るプラスチックゴミの量を減らすことができます。
幸いなことに、ここ数年、科学者やイノベーターが、海からできるだけ多くのプラスチックを取り除く方法を開発し、海洋汚染や海洋ゴミベルトの問題に対する解決策を見出すために活動を始めています。現在行われているプラスチックの海洋汚染に関するプロジェクトについては、こちらの記事をご覧ください。
この世界規模の環境問題の影響を軽減する解決策を見出そうと取り組んでいる多くの企業や団体の中に、国立標準技術研究所(The National Institute of Standards and Technology)があります。プラスチック汚染の測定技術を開発し、最適化することに取り組んでいるNIST。NISTは、ハワイ・パシフィック大学と協力協定を結び、「Center for Marine Debris Research(CMDR)」を設立しています。
プラスチックゴミの島は急速に拡大しており、この問題を発生源から食い止めるための対策を講じることは急務。私たちも、「プラスチックを使わない」などできることからはじめてみませんか。
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