
世界の自然遺産が危ない⁉
世界自然遺産の危機リストと
私たちにできること
世界中の旅行者にとって、死ぬまでに訪れたい場所と言っても過言ではない世界遺産。エジプトのピラミッドやタージマハル、グランドキャニオンを一目見たいと思う人も多いのではないでしょうか。
今回は、この世界遺産の中でも、自然に関する世界遺産が、なぜ危機にさらされているのか、また、私たちが遺産を守っていくために何ができるかをご紹介します。
世界遺産とは?
ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)によって登録される世界遺産。
世界遺産とは、歴史的、文化的、また科学的に重要な価値を持つ場所としてユネスコが認めたもので、「自然遺産」「文化遺産」「複合遺産」の3種類に分類して登録されます。
世界遺産に登録されると、その重要性が世界的に認知されるため、たくさんの旅行者が、その地域に訪れるようになります。
世界自然遺産の一部は近年、伐採、採掘、汚染などの人間の活動が原因で、深刻なダメージを受けています。では、具体的にどんな場所にどういった影響が出ているのか見てましょう。
危険にさらされている世界自然遺産
危機に直面している世界遺産(危機遺産)は皆さんが想像していたよりも、たくさんあるかもしれません。
ユネスコが認定した危機遺産の被害状況は以下の通りです(2021年10月現在)。
・エバーグレーズ国立公園(アメリカ合衆国フロリダ州):ハリケーンの被害や都市開発により悪影響を受けている
・ガランバ国立公園(コンゴ民主共和国):密猟により、白サイの生息数が減少している
・カウジ=ビエガ国立公園(コンゴ民主共和国):森林伐採と狩猟が国立公園に影響を与えている
・オカピ野生生物保護区(コンゴ民主共和国):保護区内でのゾウの密漁や公園施設の略奪が発生している
・ヴィルンガ国立公園(コンゴ民主共和国):森林伐採や密猟による被害に加え、内戦による難民が流入している
・ニンバ山厳正自然保護区(ギニア):保護区内の採掘により大きな被害を受け、難民が流入している
・リオ・プランタノ生物圏保護区(ホンジュラス):密猟、伐採、漁業により荒廃しており、麻薬の密売も行われている
・スマトラ島の熱帯雨林遺産(インドネシア):密猟、農地への侵入、違法伐採、都市開発が進行している
・トゥルカナ湖国立公園(ケニア):地元のダムの影響で生態系が破壊されている
・アティナナナの熱帯雨林(マダガスカル):キツネザルが絶滅の危機に瀕し、違法伐採が横行している
・カリフォルニア湾の島々と保護区(メキシコ):湾に生息するコガシラネズミイルカが絶滅の危機に瀕している
・アイル・テネレ自然保護区(ニジェール):軍事衝突や地域の内乱、野生動物の減少が見られる
・ニオコロコバ国立公園(セネガル):公園の敷地が荒廃し、哺乳類の数が少ないため、生態系が脅かされている
・レンネル島(ソロモン諸島):伐採により、生態系への影響が見られる
・セルース猟獣保護区(タンザニア):採掘や鉱物の採取、都市開発により自然への悪影響がある
私たちにできること
自然遺産の被害を食い止め、これからも貴重な自然を守っていくためにはどうしたら良いでしょうか。
まずひとつめは、遺産の保存と支援を目的とした地元のNGOにボランティアとして参加すること。直接参加が難しい人は、現地で活動している自然保護団体やNGOに寄付をすることで、保護活動の支援ができます。
ふたつめは、旅行の際にサステナブルツーリズムを選択すること。特に、環境に配慮しながら文化や歴史を学ぶエコツアーは、ツアー料金の一部が旅行先の地域の保全に充てられることもあるため、遺産の保全に貢献することができます。旅行先の文化や習慣を尊重することも、遺産の保全に繋がります。
今回ご紹介した世界自然危機遺産。旅行者が訪れることのできる素敵な場所も多いので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。そして、これからも末長く自然と人間が共存していけるように世界遺産を守っていきたいですね。
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