旅行の環境への影響は、全体像をとらえよう
環境問題

旅行の環境への影響は
全体像をとらえよう

ここ最近、旅行は少しずつエコフレンドリーになってきています。環境に配慮した宿やホテルが増え、二酸化炭素排出量を減らすためのオフセットプログラムもあり、旅行業界、つまりホテルや飛行機などの交通手段、ツアー会社は、より環境に配慮した取り組みをしているように見えます。今回は、旅行が環境に与える影響についてなぜ考える必要があるのか、についてみてみたいと思います。

旅行が環境に与える影響

旅行・観光産業は、全世界の排出量の約5%を排出しており、旅行が温室効果ガス排出量の増減に重要な役割を担っていることを示しています。旅行は世界中で行われており、さまざまな業界が関連しています。持続可能な社会を実現するためには、世界規模で協力する必要がありますが、それは簡単なことではありません。

私たちは、環境に大きな影響を与えることなく、世界を旅することができるのでしょうか?その答えを見つけるためにも、環境への影響の全体像を把握し、自分なりに工夫することが重要です。自分で考えないと、グリーンウォッシュといった、環境に配慮していないにもかかわらず、環境に配慮しているように見える広告や活動に簡単に引っかかってしまいます。

「環境に配慮した取り組み」の障害となるもの

より持続可能な旅行に対する需要は欧米を中心に高まっていますが、「環境に配慮する」ための障害もあります。例えば、旅行先の国で購入できる商品が限られていたり、持続可能な宿泊施設は価格も割高な傾向があります。


「環境に配慮した取り組み」を検証する

電動スクーターは本当にサステナブル?という記事を読むとわかるように、環境負荷が少ないように見えても、全体像を見ると実は環境に負荷を与えているということがあります。例えば電動スクーターの製造工程がもたらす負の影響は、そのエコフレンドリーさをはるかに上回っています。歩いた方がよっぽど環境にやさしいわけです。

水力発電もまた、世界に影響を与える持続可能な取り組みの好例です。水力発電は、化石燃料を使用するよりも持続可能であることは確かですが、野生動物にリスクを与えることに変わりはありません。水力発電は、河川や水路に影響を与える温室効果ガスを排出します。また、水力発電のダムや貯水池は、水温、魚の回遊、在来の動植物に影響を及ぼします。

水力発電を活用したホテルについては、「水力発電のホテルに泊まるべき理由」をご覧ください。

自然を楽しむ旅行は、一見、持続可能な旅のように思えますが、環境に対してプラスとマイナスの両方の影響を与える可能性があります。

旅行者は通常、自然保護や地域開発のために料金を支払いますが、これは間違いなくプラスの影響を与えます。また、コスタリカのアオコンゴウインコ、ブラジルのケープペンギン、チーター、ゴールデンライオンタマリンなど、特定の種に自然観光が役立っているという研究もあります。

しかし、さらなる研究により、人間の存在が特定の動物の恐怖心を和らげ、その結果、獲物になりやすくなることが明らかになっています。例えば、ゾウは旅行者に対して攻撃的になることがあります。そして、観光によって明らかに害を受ける種も。例えば、ニュージーランドアシカは、繁殖地の妨害や生息地での集中漁業による害で、急速に減少しています。これらの動物は世界的に影響を及ぼしており、その絶滅は環境に大きな影響を与える可能性があります。

実は、地球環境に大きな影響を与えることなく、世界を旅することができるかどうかを判断するのは簡単ではありません。しかし、二酸化炭素排出量を減少させる持続可能な旅行の方法はあります。大切なのは、目の前に見えるものをそのまま受け取るのではなく、プロセスや代替手段など、影響の全体像を把握した上で選択すること。旅行中に徒歩や自転車の代わりに電動スクーターをレンタルする前に、旅行が環境に与える影響を考えることを忘れないでくださいね!

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