
家族でサステナブルな旅をする方法
昨今、SDGsに関連して「サステナブルな旅」について耳にすることも多くなってきました。ただ、サステナブルな旅をしようと思ってもどうやったらいいのかわからない、ましてや子供と一緒の家族旅行でサステナブルなんて考えていられないという人も多いかもしれません。
サステナブルな旅行の指針の多くは、家族、とりわけ子供のことを考えると、非現実的に感じられるかもしれません。
でも、家族でサステナブルな旅をすることを、単に「サステナブルにする」のではなく、そこに至る過程までもを楽しむ「旅」だと考えてみてはいかがでしょうか。そうすることで、無駄にお金がかかることも、子供が泣き言を言ったり文句を言ったりした思い出だけが残ることもなくなります(それでも泣き言を言ったり文句を言ったりするかもしれませんが、それはあなたのせいではありませんよ!)。
今回は、すぐに取り組むことが出来る3つの方法をご紹介します。
1. 目的を設定する
一人やカップルでなら、サステナブルな旅行を始めるのは簡単です。家族みんなで旅行するとなると、家族の人数分の航空券をなんとか手配し、荷物をスーツケースに詰め、旅程を計画するのはとても大変なこと。これだけたくさん考える事があると、サステナブルな旅は「また今度の機会に」ということになりかねません。
この問題に対処するためには、旅行計画の段階で、なぜサステナブルな旅をしたいのかを改めて考える必要があります。そうすれば例え旅行の計画を立てるのが億劫になったとしても、目的を見失わず冷静でいられるので、旅をするための準備を続けることができます。
目的を優先させるための方法:
・ソーシャルメディア上でサステナブルな活動をしている人たちをフォローする
サステナブルな活動を発信している人たちは、サステナブルな話題に敏感で、自分たちで取り組めそうな事を実行可能なステップに分解して、子供にもわかりやすく説明してくれます。
・自分自身、家族、そして旅行中に得られる体験に対する期待値を下げる
期待値を低く設定すればするほど、より高い目標を優先させることができます。例えば、旅行中に地元のレストランを選んでも、おいしくなかったり、行った時には既に閉店していたなんてこともあるかもしれません。そんな時に、その行動が地元の人をサポートするためのプロセスの一部であることを再認識し、子供の意見を聞きながら新しくレストランを見つければ、子供たちをがっかりさせずに済みます。
2. ゆっくり旅しよう
目的地までの移動に多くの時間とエネルギーを費やすと、できるだけ多くのことを詰め込んで「お得」な旅をしたいと思うもの。旅行の予算が限られていて、その場所を二度と訪れないとわかっている場合は、なおさらです。
しかし、予定を詰め込めば詰め込むほど、それを実現するために必要なものが増えていきます。早く食事を済ませることの出来るファストフード、より速い移動手段、使い捨てのもの、使い慣れたブランドなどなど…。
スケジュールを詰め込むと、どうしても急ぎ足になります。そのために、何か(サンゴ礁に安全な成分を含む日焼け止めやエコバッグなど)を忘れてしまい、結果的に環境や地域社会に悪影響を与える製品をより多く必要とするようになります。
旅行をスローダウンすることは、サステナブルなだけでなく、家族にとってより良い体験を得ることにもつながります。
家族旅行にとって大切なのは、思い出の量ではなく、「質」です。5つの寺院をめぐるよりも1つの寺院に滞在したり、10の滝を訪れるよりも1つの滝をじっくり見に行く方が、その場の環境にゆっくりと浸る時間ができて、子供たちも親も、より特別な体験ができるはず。
また、ゆったりとした時間を過ごすことで、子供たちの「探検したい」「発見したい」という欲求に親が答える時間とエネルギーが生まれます。子供の好奇心を十分に刺激してあげれば、その分不満も少なくなります。
もし癇癪が起きたとしても、すぐに子供たちを落ち着かせるために必要のないものや地元にないものを必死に買う必要はありません。たっぷりと時間があるので、子供たちがその場を切り抜けるのを見守ることができます。
ゆっくりした休暇を計画するための方法:
・飛行機ではなく、なるべく車で移動する
・複数の都市を訪ねるのではなく、1つの都市をじっくり訪ねる
・好奇心を満たすのに必要な時間を確保する
3. 事前に教えて、やってみる
いきなり自分の水筒を持ち歩く必要がある場所に行かせたり、見たこともない食べ物を食べさせたり、初めてバスを利用するという環境に子供を放り込むのは、あまりおすすめできません。
子供がサステナブルな旅行者になれるように、まずは家で練習しましょう。無責任に旅行すると環境や地域社会にどんな影響があるかについて、ビデオや本を利用して見せて
あげましょう。その後、家族一人ひとりができることについて一緒に考えましょう。子供達がどう取り組んでいくのかをみてきっとあなたは驚くはずです。リサイクルに熱中する子もいれば、自分の二酸化炭素排出量を計算するのが好きになるという子もいるかもしれません。家庭での習慣を変えれば変えるほど、旅先での習慣も簡単に変えることができます。
家庭でできる簡単な習慣:
・色々な国の料理を作ったり、レストランで食事をしてみる。様々な味の食べ物に慣れることで、地元のレストランを支援したり、旅行先で地元の食べ物を食べることに抵抗がなくなる
・水や電気の使用量やゴミの量を最小限にする方法を話し合い、計画を立てる
・旅行用の食器やエコバッグを使う練習をする
地球が今どのような状況にあるのかを自分自身と家族に教えることは、大変労力のかかることでもあり、一夜にしてできることではありません。何世代にもわたる小さな行動の積み重ねが気候危機を生み出してきたと考えられるので、それを元に戻すには、同じように多くの積み重ねが必要になります。
旅行は、クリーンエネルギーや貧困削減のための技術革新を促すだけでなく、子供たちにこの世界の良き管理者となる機会を与えることができます。サステナブルな旅行者になることを通じて、地球や環境のことを自分の頭で考えられるようになっていくでしょう。
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