
アジアの国々で古代の棚田を巡ってみよう
アジアの美しい風景といえば、棚田。棚田は何世紀も前から存在し、アジア大陸の何百万人もの人々に栄養を提供し続けています。
棚田はどこにあるの?
バリ島のテンガラランをはじめ、棚田はアジア各国で見ることができます。8世紀頃、リシ・マルカンデヤという聖人によって伝えられたと言われる棚田。インドネシアのバリ島にあるテンガラランは、ウブド共有地域の3大棚田を形成しており、他にはペジェン村とカンプハン村があります。この棚田とスバックと呼ばれる灌漑システムにより、バリは世界でも有数の稲作エリアとなりました。
スバックとは、運河と堰で構成された灌漑システムで、傾斜のある棚田をわずかなスペースで営むことを可能にしたもの。水は水路を通って田んぼに流れ込み、井堰(いせき:水を引き流量を調節するため、水をせきとめる所)を経由して田んぼに入ります。スバックの宗教的・文化的重要性についてはこちらをご覧ください。
ウブドから車で1時間ほどのところにあるジャティルウィの棚田。1,400エーカーの広さに及ぶこの棚田はバリ島最大で、ユネスコによって保護されています。ジャティは「本物」を意味し、ルウィは「美しい」を意味する言葉。その美しさは、ぜひ自分の目で確かめてみてください。
棚田はバリ島以外にも、中国の紅河哈尼やフィリピンのコーディリエラ山脈をはじめ、アジア各地で見ることができます。
棚田に秘められた歴史
何千年も前からアジアの各地で行われている稲作。棚田は、中国の元時代(1279-1368)に、森林を切り開いたり山間部に進出することなく耕地を増やす方法として開発されたのが最初だと言われています。棚田は、木の板や石斧などの簡単な道具と技術、そして人力によって作られました。しかし、金属製の耕運機や灌漑設備などの新しい道具が導入されたことで、今では洗練された手法で行われています。
なぜ、棚田は重要なのか
棚田は、アジアに住む人々に食糧を供給し、生活を維持するために不可欠な存在。栄養だけでなく、貿易や観光などの経済的な機会も提供しています。さらに、土壌侵食の抑制や、高地から低地への流出抑制による水資源の保護など、天然資源の保護にも役立っている棚田。さらに、棚田の美しさは、世界中の旅行者を魅了し、旅行者によって周辺地域に観光収入をもたらしています。
アジアの棚田は、厳しい環境下での人間の創意工夫と忍耐の証。その歴史は長く複雑ですが、土壌の侵食防止や水質保全などの自然資源を維持しながら、多くの人々に食糧を供給し、今日でも重要な役割を果たしています。
日本でも美しい田園風景を見ることができますが、他のアジア諸国の棚田を訪れることは、同じ米を主食とする人々や文化に触れる体験でもあります。今度のアジア旅行は少し足を伸ばして棚田を見に行ってみませんか?
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