
ロンドンでも環境に優しいステイ!
おすすめエコホテル
英国は、ビンテージが人気であるように伝統や歴史など古くから伝わるものを大事にしている国ですが、一方で日本ではまだあまり馴染みのない新しいトレンドも次々と浸透しています。
環境対策も、最近特に注目されている動きのひとつです。例えば、家畜からは大量の温室効果ガスであるメタンが排出されますが、英国では地球温暖化の懸念の高まりを受けて肉の消費を避ける動きが強まっています。そのため、動物由来の食品を一切摂らない“ビーガン“(肉や魚と摂取しないベジタリアンに対し、ビーガンは肉や魚に加えて卵や乳製品、はちみつ等も摂取しない)の数は、2006年には15万人でしたが、2018年/2019年には約60万人(2018年の人口推計値は6,600万人)にまで増加しています。また個人だけではなく、英国政府も2020年4月からプラスチック製のストローや攪拌棒の供給を禁止するなど、国も環境対策に取り組んでいます。それでは、そんなエコへの意識が高い国、英国の首都ロンドンには、どのようなエコなホテルがあるのでしょうか。
環境に配慮したエコなホテルとは?
そもそも、環境にやさしいエコなホテルとはどのようなホテルなのでしょうか。一言で「エコ」といっても何を基準に環境にやさしいと言えるのか、自分たちで判断するのは難しいものです。そんな時に注目してほしいのが、環境基準を満たした宿泊施設のみに与えられる「認証」です。認証を取得しているホテルは、審査機関によりエコの質が証明されているホテルである、ということになります。認証にも様々な種類がありますが、今回は、グローバル・サステイナブル・ツーリズム協議会(GSTC)が旅行や観光業界を対象とした十分な認証基準であると認めているEarthCheckやGreen Keyの認証を取得しているロンドンの2つのホテルをご紹介します。
ホテル1:The Langham (獲得認証:EarthCheck、Green Key)
The LanghamはEarthCheck やGreen Keyの認証を取得しており、2018年には前年と比較し二酸化炭素の排出量を6.5%、水消費を14.5%削減するなど、エネルギー消費、及び温室効果ガス排出量と廃棄物の埋立0%の分野において先進事業者に特定されています。また、チャリティーへの出資など社会的な取組も実施しています。
主な取組の例
・生分解洗剤の使用
・エネルギー効率の高い冷暖房の導入
・シャワーや蛇口の水の流量の低下
・家具等の寄付
・使用済み食用油の車両燃料へのリサイクル
・リサイクル不可の廃棄物を燃焼して発電に活用
・紙の80%はエコラベル取得もしくは再生紙を使用
・地元の持続可能な食品を調達
・義援として食料を寄付
・チャリティーイベントへの出資
料金:390ポンド/泊~
ホテル2: St. James’ Court (獲得認証:EarthCheck)
St. James’ CourtはTaj Group(インドのホテル企業)が世界各国に所有するホテルのひとつであり、2016年時点でTaj Groupの50のホテルがEarthCheckのゴールド認証を取得しています。2008年以降の約6、7年間で、Taj Group全体で、172,232世帯(4人家族)の1年間のエネルギー消費量に相当する5億5,800万メガジュールのエネルギーを削減、オリンピック用のプール719個分に相当する18億トンの水を節約するなどの成果を上げています。
料金:163ポンド/泊~(Booking.comより)
おまけに ~エコでお手頃なホテル Qbic London City Hotel~
エコだけどもっとお手頃なホテルに泊まりたい!という方にお勧めしたいのが、Qbicというホテルです。Qbic London City HotelはEarthCheckやGreen keyのような認証は取得していませんが、環境や社会に配慮した取組を数多く実践しています。
主な取組の例
・太陽光パネルの設置
・全てLED電球を使用
・水はろ過したものを使用(ペットボトルの水は不使用)
・水と空気を混合させることによりシャワーの水使用量を削減
・環境に関する地域のチャリティーに参加
この他、アートを通してホームレスに社会との接点を提供する取組をする団体に対し、チャリティーのためのスペースを提供するなどの活動も行っています。また、ルームサービスを断ると5ポンドの割引を受けることができるので、毎日の清掃が必要なければサービスを断ってエコに貢献するとよいでしょう(割引は2泊以上する場合のみ対象)。
料金:約50ポンド/泊~
今回はロンドンでおすすめのエコなホテルをご紹介しました。ロンドンに行かれた際は、環境や社会に配慮した取組を実践しているホテルに泊まってみてはいかがでしょうか。
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【綾夏】
気候変動政策を専門とするコンサルタント。ボルネオ島にてオランウータン調査の経験を持つ。より多くの人が環境問題に関心を持つきっかけとなるよう、エコツーリズムの魅力を発信している。

