バリ島
アジア,  環境問題

バリ島の環境問題と観光
 −バリ島の魅力を守る旅行のすすめ−

インドネシアに所属する小さな島、バリ島。東南アジアを代表するリゾート地の一つとして有名です。海や川、山など美しい自然はもちろん、ヒンドゥー教の寺院や雑貨屋などが連なる街並みなど、バリ島は観光地としての魅力が満載!そんな素敵な島、バリ島の環境問題を取り上げ、環境に優しい観光をするためのヒントをご紹介します。

バリ島の環境問題

実は今、バリ島では環境問題が深刻になっています。多くの観光客が訪れる一方で、海やビーチにプラスチックゴミが蓄積し、環境に大きな影響を及ぼしているのです。実際にバリ島のビーチへ行くと、海中やビーチで多くのレジ袋やストローなどのプラスチックゴミが散乱しているのを目にすることでしょう。こうした「プラスチックゴミ問題」は、島に住む人々の生活の変化やモンスーンの影響など様々な原因が重なり合って深刻化したと考えられていますが、オーバーツーリズムが大きな原因の一つであると分かっています。オーバーツーリズムは、特定の観光地にキャパシティを超えた観光客が押し寄せることで現地の環境やインフラ、住民などに負の影響をもたらす現象のこと。日本語では「観光公害」と表現されています。バリ島などの有名な観光地では多く見られる問題です。バリ島には大規模なゴミ処理施設がなく、現地の住民もゴミを分別するなどの習慣がないことに加え、毎年世界各国から大量に訪れる観光客がペットボトルやレジ袋などをビーチへ持ち込むことによってプラスチックゴミの問題が深刻になってしまいました。


バリ島での環境問題に対するサステイナブルな取り組み

深刻なバリ島の環境問題を受け、インドネシア政府は2020年4月にプラスチックゴミの大幅な削減を目指す計画を打ち出しました。2025年までに海洋プラスチックゴミを70%削減し、2040年までにはプラスチック汚染を一掃するという具体的な目標が掲げられています。このことからも、バリ島では環境問題が緊急の課題であるということがわかります。

バリ島の都市、デンパサールでは、2019年1月からプラスチック製の袋や容器を禁止する取り組みが行われています。そのため、旅行者もバリ島へのプラスチック製品の持ち込みや使用を控えることが求められています。実際にバリ島のホテルやレストランへ足を運ぶと、当たり前のように紙製のストローが使われているのを目にすることができるはずです。

ここで、バリ島が環境問題に熱心に取り組んでいることを表す例として、「グリーンスクール」をご紹介します。グリーンスクールはバリ島のデンパサールから車で20分ほど走った場所のジャングルにあるインターナショナルスクール。最先端の環境教育が行われていていることで知られており、世界中から子供達が集まっています。校舎は成長が早く環境に優しい竹で作られ、トイレは水を使わず堆肥に変えるコンポストトイレ。さらに、学校で使う食べ物やエネルギーは全て自給で、電力は太陽光発電と水力発電で賄われているなど、徹底して環境に配慮した設備が完備されています。このグリーンスクールでは見学ツアーやキッズキャンプが行われており、大人も子供も最新の環境教育を見学することができます。施設内にはオーガニックカフェなどもいくつかあり、観光の一環として楽しみながら環境教育に触れることができます。バリ島を訪れた際にはぜひ訪れてみてくださいね。


”旅行者”の私たちができること

バリ島の美しい自然や魅力をこれから先も楽しむためには、私たち旅行者の行動が重要です。私たちの意識一つで、バリ島の未来を守ることができるのです。自然豊かな島バリ島の魅力を、より多くの人により長く楽しんでもらえるように、気軽にできる取り組みをいくつか考えてみましょう。

・エコバッグを常に持ち歩く

雑貨、食品、アクセサリーなどが街中でたくさん売られているバリ島は買い物天国。そこで、バリ島で出かける時には必ずエコバッグを持ち歩くことを意識しましょう。現地のお店で旅行者のためにビニール袋を用意する必要がなくなれば、島全体のビニール袋の消費量を大きく減らすことができます。

・ゴミを見つけたら拾う

バリ島の街やビーチを歩いている時にゴミが落ちているのを目にしたら、足を止めて拾ってみましょう。旅行者である私たちがゴミを拾う姿は、他の旅行者や現地の人々へ良い刺激を与えるはず。ゴミ拾いが現地の人との会話のきっかけに、などと言った思わぬメリットも。あなたの小さな行動が大きな変化をもたらすかもしれません。

・節水をする

バリ島では、プラスチックゴミだけでなく、水不足も大きな問題になっています。地下水のほとんどがリゾートやヴィラへ送られており、水不足に苦しんでいる農民も。旅行へ行った際にはシャワーを短時間にする、洗濯物を少なくするなどして、水を大切に使いましょう。

・自転車や電動スクーターで移動する

車やタクシーではなく、現地で自転車や電動スクーターを借りて島を観光することも、バリ島の環境を守ることに大きく役立ちます。排気ガスの排出や道路の渋滞を減らすことで、バリ島の豊かな自然や生態系の保全を促すことができます。また自分の足で移動することで、バリ島の隠れた魅力や現地の穴場を発見することができ、より楽しむことができるでしょう。

美しい自然や文化で魅力に溢れるバリ島。環境問題が深刻になってしまいましたが、現在では様々な取り組みや教育が行われていることをご紹介しました。いつまでもバリ島の自然を楽しむために、皆さんも身近なことから始めて、「環境に優しい」旅行者になってみませんか。

環境に優しい旅についてもっと知りたいですか?
次の旅のインスピレーションに、忙しい毎日のちょっとした息抜きに。
Ecotourism Worldのニュースレター配信登録はこちら

【Rion】
東南アジアや国際協力について勉強中。海外旅行やアウトドアが好きで、いつまでも楽しみたいという思いからエコツーリズムに関心を持つようになる。多くの人に環境に優しい旅について知ってもらいたいという思いで執筆中。