
旅先での移動手段と環境への影響
皆さんは旅行に行った時、どんな手段で移動しますか?移動手段を選ぶ際、どんなことを重視していますか?行きたい場所に速く、安全に行けそうな方法を選ぶという人が多いのではないでしょうか。
もちろん移動する手段を選択するのに利便性や速さ、安全性を重視するのは当然ですが、移動が環境に与える影響についても無視できない状況になってきています。
今回は、移動手段が環境に与える影響と環境に優しい移動手段について見ていきたいと思います。
移動手段と環境への影響
国土交通省によると、主な移動手段で1km移動する際のCO2排出量は下記の通りです。
鉄道 18g
バス 54g
自家用車 133g
※各輸送機関から排出される二酸化炭素の排出量(人キロ:輸送した人数に輸送した距離を乗じたもの)で割り、単位輸送量当たりの二酸化炭素の平均的な排出量を試算
やはり公共交通機関の方が、自家用車での移動に比べるとCO2排出量が少なくなっています。公共交通機関で行ける場所はなるべく公共交通機関を使ったり、シェアサイクルなどを探すことが環境に配慮した旅行をする際には重要です。
どうしても自家用車を使用しなければいけない場合には、加速や減速の少ない運転を心がけるなど、エコドライブをするようにしましょう。
ユニークで環境に優しい移動手段
アプリを利用して環境に優しい移動手段を選ぶ
アメリカのスタートアップが開発したMilesというアプリは、移動することでポイントがもらえて、貯まったポイントはオンラインショッピングやコーヒーショップのクーポンに引き換えることができます。このサービスの特徴は、もらえるポイントが移動手段によって変わる点。例えば、徒歩を選ぶと自動車の10倍のポイントがもらえたり、電車やバス・ボートなどは自動車よりやや多いポイントがもらえます。残念ながら、現在、日本で使用することはできませんが、もしアメリカに滞在する機会があれば是非使ってみてください。こういった環境に優しい交通手段を使うとより多くのポイントが溜まるというサービスは、ヨーロッパでも利用が始まっています。一人一人が自然に環境に優しい選択をしやすくする仕組みで環境にも利用者にもwin-winですね。
日本でも、歩いた歩数に応じてポイントがもらえるdヘルスケアやaruku&(あるくと)といったアプリや、日本や世界一周を目標にできるシンプル歩数計というアプリはあるので、まずはCO2排出量がゼロである「徒歩」へのモチベーションを上げられるアプリをダウンロードしてみるのも良いかもしれません。
徒歩というと面白みが無いかもしれませんが、やはり徒歩に勝るものは多くありません。

最近欧米をはじめとする様々な国で広がっている電動キックボードのシェアリングは便利で環境に優しいと主張されますが、
・製造から考えると環境に良くないのではないか
・環境負荷の高い自動車での移動などの代替手段ではなく徒歩の代替になっている
・川や海に落ちた電動キックボードが腐食してリチウムが出てきて水質を汚染させている
との意見も挙がっています。
電気自動車(EV)のシェアリングサービス
自動車のCO2排出量については他の移動手段に比べて多いですが、走行中にCO2や有害な排気ガスが出ないEVに乗るのも一つの方法です。EVについては製造段階や発電時のCO2排出量などを考慮すると本当に環境に優しいとは言えないのではないかという指摘もありますが、シェアリングで使うことは1つの解決策になるかもしれません。
ヨーロッパでは既にEVのシェアリングサービスが広まっており、フォルクスワーゲングループが展開しているEVだけのカーシェアリングサービス「We share」もドイツ・ベルリンに続き、欧州7都市に拡大が予定されています。日本でも、一部地域ですが、EVのシェアリングサービスが始まっているので、こういったサービスを利用してみるのもお勧めです。例えば、eemoは小田原でつくられた再生可能エネルギーで主に充電されたEVをアプリで予約して24時間好きなときにステーションから利用できます。予約は15分単位ででき、充電代や距離料金もかからないので、レンタカーより料金もお得に利用できる可能性もあるとのこと。予約や決済もアプリでできるので、感染症のリスクも少なくできそうです。
電動バイク・自転車シェアリング

最近、東京都内ではドコモ・バイクシェアが提供している自転車シェアリングを使っている人が増えてきました。ニュージーランドではエコツーリズムをさらに進めるために電動バイクのシェアリング事例も出てきています。Motubikesでは観光客がグレート・バリア島をより持続可能な方法で散策できるように、電動バイクを導入し、ソーラーパネルで発電した電気で充電して貸し出しています。※利用には国際免許が必要
また、日本でも世界ジオパークに指定されている隠岐諸島で試験的に電動アシスト自転車での周遊サービス「E-BIKE ADVENTURE OKI」を試験的に実施しています。コースは19種類あり、行きたい島と滞在時間に合わせて選べるとのこと。(2020年9月8日~12月7日までの期間限定)
「価格や時間」だけではなく「環境負荷」という軸を入れることから始めてみませんか
いかがでしたでしょうか。今回はほんの一例でしたが、最近では自転車などのシェアリングサービスを街中や旅行先で見かけることも多くなりました。そして、1~2人乗りで環境性能に優れた「超小型モビリティ」や時速20km未満で公道を走ることができる電動モビリティの「グリーンスローモビリティ」を推進する動きもあり、ますます便利で環境への負荷が少ない選択肢が増えてきそうです。最近次々と新しいサービスが出てきているので、まずは自分の住んでいる地域やこれから行く旅行先でどのような環境に優しい選択ができるのか、調べてみてはいかがでしょうか。
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【Sayaka】
趣味は旅行や読書。タイへの留学やフィリピンでのボランティアを経験し、東南アジアへの関心が高い。旅の中でオーバーツーリズムを実感することがあり、エコツーリズムに興味を持つ。日々学びながら情報発信中。

