メキシコ 先住民
エコツアー,  文化体験

先住民の文化を尊重する旅行をしよう

豊かな歴史で知られるデスティネーションに旅行するとき、その土地に古くから暮らしている先住民の文化に触れる時間を取っていますか?

世界銀行によると「90か国以上に世界で約4億7600万人の先住民」がおり、これは世界の総人口の約7%に相当します。なんとなく先住民というと、小さなコミュニティグループを思い浮かべる人もいるかもしれませんが、かなり多くの先住民と言われる人々が世界の様々な場所で暮らしています。

先住民の土地への文化的つながり

先住民の文化は、彼らが住んでいる地域との歴史的、家族的、部族的なつながりや絆が強いことが多いのが特徴です。その土地とのつながりが強いために、土地の権利や使用など、先住民の人々にとって強いつながりのある土地で生活や活動を継続できる必要性に関して、さまざまな団体とぶつかることがあります。

「文化観光」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。国連世界観光機関(UNWTO)は、文化観光を「訪問者の本質的な動機が、観光地で有形および無形の文化的アトラクション/製品を学び、発見し、体験し、消費することである一種の観光活動」と定義しています。

従来の観光は、神聖な場所を尊重するよりも、観光客にとって魅力的な場所には行く!というものが多く、その神聖な土地にむやみに足を踏み入れるべきではないという考えの先住民と衝突する傾向があります。だからこそ、先住民の文化を尊重しているエコツーリズム認証制度を取得しているツアー会社を利用することがとても重要!こうしたエコツアーに参加することは、先住民だけでなく、持続可能で責任ある方法で先住民の文化や歴史について学びたい旅行者の双方にメリットがあります。

先住民文化の尊重とエコツーリズム

世界の各地で暮らす先住民の人々。その先住民の文化・土地へのつながりと旅の双方に良い形を目指すのがエコツーリズム。エコツーリズムを取り入れ先住民の文化を尊重し旅人にも学びの機会を与える各国の事例をご紹介します。

オーストラリア

先住民の中でもよく知られているオーストラリアのアボリジニ。例えば、エコツーリズムオーストラリアによってエコツアー認定を受けたムンガラ・アボリジニツアーは、オーストラリアの先住民文化に焦点を当てたエコツアーを実施しています。このツアー会社では、旅行者に地元の環境プロジェクトについて説明したり、土地と密接に関連しているアボリジニの文化的慣習を共有したりしており、土地保全の必要性や重要性に重点を置いています。提供されているエコツアーの中には、訪れた時よりも良い状態にして旅を終える「再生旅行」と言われるタイプのツアーも。

メキシコ

メキシコ南部のマヤの血を引く民族コミュニティにおけるマヤ文化は、メキシコ全体の歴史においても非常に重要な意味を持っています。メキシコ政府がマヤの土地でも観光を始めたいと考えていたので、エコツーリズムプロジェクトが立ち上げられました。そして、2014年にMesoAmerican Reef Tourism Initiative(メソアメリカン・リーフ・ツーリズム・イニシアチブ、通称MARTI)、観光省、および国家委員会の支援を受け、エコツーリズムのプロジェクト「マヤカアン」が立ち上げられました。このプロジェクトの目的は、デスティネーションの豊かさや先住民の文化について旅行者に学び・体験の機会を提供し、保護エリアの活動を促進すること。旅行者の旅行費用が直接地域コミュニティに流れ、地域の先住民に社会的・経済的な発展をもたらしています。

北極圏

ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの北部、さらにはロシア北部の一部では、サーミの人々が暮らしています。サーミはこれらの北欧諸国で非常に有名な豊かな歴史を持つ先住民です。スウェーデンの先住民エコツアー会社NuttiSámiSiidaは、スウェーデンエコツーリズム協会によって認定されており、他の団体の持続可能な先住民の観光の認定も受けています。この会社で重視しているのは、サーミ人が生活の中で実践している倫理をツアーに取り入れること。つまり、自然、動物、先住民の文化に大きな敬意を払うということです。

先住民を訪問し、その文化を体験するエコツアーに参加してみませんか?昔からの伝統を大切にしながら長い歴史を刻んできた先住民の人々。そんな彼らのデスティネーションの豊かな歴史に浸ってみてはいかがでしょうか。

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