水問題
環境問題

水不足に配慮した環境にやさしい旅行

水。私たちにとって重要な資源です。この地球上のほとんどの生き物は生命を維持するために水を必要としています。そんな大事な資源だとわかっていても、私たちは時に無駄使いします。水の需要を満たすのに十分な水資源がなくなったときの現象である水不足。世界には、十分な水資源がない地域が存在します。

旅行者として、私たちはどのように水不足、水の使いすぎに配慮して環境にやさしい旅行ができるのでしょうか。

実際、「DayZero」がすでに17か国以上で達成されています。これは、流水が利用できなくなったことを表す言葉。水不足の国としては、イスラエル、エリトリア、リビア、レバノンなど、中東や北アフリカの多くの地域が含まれます。これらの国々に加えて、世界にはさらに多くの水の危機にあるエリアがあります。

水不足と旅行の関係

観光は、そんな水の需要と供給がアンバランスなエリアで特に、悪い影響を及ぼしています。

モロッコなどの乾燥地帯では、ホテルが砂漠の真ん中に建てられ、大きなプールと広大な庭園で飾られています。休暇中の旅行者は、人工的に作られた庭園に常に水をやらなければならない、という事実について考えません。特にこういった乾燥した地域では、長期的に水需要をカバーするのに十分な雨が降らず、慢性的な水不足であるため、「庭園への水やり」でも大きな問題になります。モロッコは海のそばにあるため海水はありますが、海水を淡水化するための大型機械は、地元の人々にとってあまりにも高価。手が出せません。

現在、観光における直接的および間接的な水の消費量は138km³と言われています。これは、1日1人あたり6575リットル。コロナ禍が収束をむかえ、また人々が旅行するようになると、現在よりもさらに水を大量に消費するようになると予想されており、水不足も深刻化する可能性が高くなります。 Bread for the Worldによると、2050年までに、観光における水の消費量は約2倍となり、265km³を超えると予想されています。

水不足への影響

水を大量に消費する観光。他のエリアの例も見てみましょう。

インドネシアのバリ島は、水の消費量が非常に多い国の一つ。バリでは、現地の水の65%が観光で消費されています。ホテルへの長いパイプラインはコストがかかり、十分な圧力がないことが多いため、ホテルに直接井戸が建設されます。時間が経つにつれて、井戸はどんどん深く掘削され、水位が下がり、より多くの塩水が地下水に入り、それが地下水を汚染します。世界の水危機に対する持続可能な解決策はとても高くつくのです。

インドのゴアのホリデーパラダイスにある5つ星リゾートでは、1部屋1日あたり1785リットルの水を使用しています。この地域の平均的な人口は1日あたり14リットルの水で生活しなければならないことを考えると、これはかなりの量。周囲に住む人々の井戸もまた、水不足のためにますます汚染され、枯渇しています。

旅行中、水の消費量に注意してみよう

世界の水問題に対処するためには、水資源をより責任を持って管理し、世界の水危機を緩和するために水消費量を削減する必要があります。水問題全体を解決するためには、工業などの産業で政府や企業が対策を実施する必要があります。観光でも、政府が規制をしたり、インフラを整備したり、ホテルやリゾートなどの企業が水不足に配慮した建設、運営をすることはマストと言えるでしょう。

では、私たちができることは何か。旅行している間は、あまり自分たちの旅行が水不足に悪影響を与えることに貢献してしまっていることはほとんど感じないのではないでしょうか。自分のすぐ目の前で何かが起こっているわけではないからですね。でも、私たちだって、世界の環境問題を深刻化させずに、旅行を楽しみたいですよね。では、その水不足を回避するために旅行者として何ができるでしょうか?

私たちも、まず水問題があるということを認識すること、乾燥した地域または一般的に水が不足している地域を訪れる際は、どういった宿泊施設に滞在するか、何をするか慎重に選択する必要があります。事前にインターネットでデスティネーションについて調べれば、どんな地域なのか、どんなことが問題となっているかわかるはず。そして、プールや庭などがあるホテルやゴルフなどの水を大量に消費するアクティビティは、水が不足している国では選択しない、などはすぐにできそうですね。

環境に優しい旅行をするのであれば、宿泊施設などでは水を控えめに使用することも、私たちができることの一つ。すでに実行している人も多いと思いますが、例えば、毎日タオルを洗濯してもらうのではなく、数日使ってから洗ってもらうといったことも私たちができること。小さなことのように見えますが、多くの人が行うことでインパクトは大きくなります。

小さい行動を侮るなかれ、です。

環境問題への対応というと大それたことに聞こえますし、旅行者ひとりが何をしても変わらないと思っている人もいると思います。でも、私たちにできることって意外と多く、しかもそんなに労力をかけなくてもできることがたくさん。世界で何億人もの人が旅をする今、一人一人が小さな行動をしても、大きなインパクトを与えることができます。そして、消費者である私たちが動くことで、ホテルや観光業界全体を動かすことにも繋がります。

まずは、簡単にできることから、意識的にやっていきたいですね。

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