コロナ禍でオーバーツーリズムが改善された観光地
サステナビリティ

コロナ禍でオーバーツーリズムが
改善された観光地

オーバーツーリズムとは「地域住民や観光客の体験の質に悪影響を及ぼすような観光の影響」と世界観光機関によって定義されています。さて、観光業界での大きな関心事は「パンデミックによってオーバーツーリズムは終わったのか」ということ。2020年、パンデミックによる渡航制限により、オーバーツーリズムの問題は突然消えてなくなりました。多くの旅行者が突然途絶えたことで、オーバーツーリズムがいかに都市の在り方そのものに影響を及ぼしていたのか気づくことになりました。

そして、パンデミックは、ヴェネツィア、バルセロナ、ドゥブロヴニクなどの人気のある観光地が、サステナブルな都市に生まれ変わるきっかけにもなりました。これらの都市がサステナブルな都市へと発展する過程には、国連の持続可能な開発目標(SDGs)が考慮されています。SDGsについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

では、オーバーツーリズムで知られていた世界の観光都市がコロナ禍でどのようにサステナブルな都市に変わりつつあるか、見てみましょう。

イタリアのベネチア

ベネチアは、オーバーツーリズムが問題になっている観光地の代表格。コロナ以前には、この美しく趣のあるイタリアの都市に年間約2,000万人の観光客が訪れていました。ベネチアの経済は観光業に大きく依存していたため、パンデミックによりベネチアは危機的な状況に陥りましたが、しかしこの大きな危機が「ベネチアを世界有数のサステナブルな都市にする」という新しい目標を与えました。

コロナ後にベネチアでよりサステナブルな観光を再スタートさせるためには、観光客がさまざまな目的地に分散するように誘導したり、日帰り訪問者を減らしたり、新しい住民を呼び寄せることで都市の人口を増やす必要があります。

2021年、ベネチアは観光客の携帯電話を追跡できるよう270万ポンドを投資。収集される情報には、観光客がどこから来てどこに行くのか、そしてその交通手段が含まれます。またイタリア政府は2021年、55,000トンを超える大きさのクルーズ船がベネチアの主要運河に入るのを禁止しました。

一般的に、旅行者がその土地に長く滞在すればするほど都市や環境への影響は小さくなります。ベネチアを訪れる際は、日程に余裕を持ってゆっくりと観光することをオススメします。 

2022年の夏から、日帰りで訪れる人がベネチアへ入るためには、事前にチケットを予約し3ユーロから10ユーロのアクセス料金を支払うことが義務付けられました。また、公共交通機関や美術館などの公共サービスを利用するためにも申請が必要です。宿泊する場合は無料で登録できますが、1日あたりの登録数には制限があり、安全性と持続可能性を守るため、1日あたり最大341,200人の観光客しか登録できない仕組みになっています。

スペインのバルセロナ

年間1400万人近くの観光客が訪れるバルセロナ。バルセロナは90年代初頭から人気の観光地となっています。

そんなバルセロナは、コロナ禍でオーバーツーリズムに対する管理を強化し、新しい都市として大きな進歩を遂げました。パンデミックを利用して、都市の持続可能性を全面的に見直したのです。

例えば、バルセロナの街の中心を通る大通り「コンセル・デ・セント」は 3車線のうち2車線が廃止され、その分歩道が広がりより歩きやすい街へ。バルセロナは以前よりも車が少なく、環境に優しい都市に生まれ変わりました。

他にも様々な環境への取り組みが進行中。現在、総長20マイルある21箇所の通りを歩行者専用の緑地にする計画が進められています。空気の質を改善することで、バルセロナを世界のサステナブルな都市リストに仲間入りさせることが狙いです。

またバルセロナの地方自治体は、都市を”スーパーブロック”と呼ばれる区画毎に分割することを考案しました。コミュニティ内のつながりを促進させるだけでなく、騒音などの公害も軽減させられる見込みです。

今後バルセロナを訪れるときは、徒歩か自転車で観光してみましょう。人々が車での移動を控えることで二酸化炭素排出量を削減し、空気の質を改善することを目指しています。市内を走るすべての車両は、スペイン交通総局(DGT)のテストに合格する必要があり、大気汚染が最も少ないものから多いものまで、5カテゴリーに分類された環境ステッカーを貼る必要があります。

さらに、バルセロナでは「チェック・バルセロナ」というアプリを利用することで、人気の観光地がどれだけ混雑しているのか、いつでもチェックできるようになりました!このアプリのおかげで、観光地の過密状態を緩和できるように。このように、バルセロナではさまざまな方法で都市全体の持続可能性と観光のバランスを調整しています。

クロアチアのドゥブロブニク

ドゥブロブニクといえば、美しいアドリア海を背に建ちならぶテラコッタ色の屋根が印象的。ドゥブロブニクのオーバーツーリズムは、人気の映画やテレビ番組で話題になったこと、またクルーズ船の寄港地として人気が出たことが原因で広がりました。

しかしコロナ禍でクロアチアの国境が閉鎖されると、観光客は激減。そこでドゥブロブニク市は、よりサステナブルで未来に焦点を当てた都市のあり方を模索し始めました。結果的にパンデミックはドゥブロブニクに大きな変化を起こし、世界のサステナブルな都市リストに追加されるまでに至っています。

例えば、一度に停泊できるクルーズ船を大幅に制限することで、二酸化炭素排出量は大きく改善されます。現在ドゥブロブニクでは一度に最大5隻のクルーズ船しか停泊できず、各船の乗客は最大5,000人と決められています。またクルーズ船のスケジュールも改訂され、市内の観光客数は大幅に減少しました。現在ドゥブロブニクは、サステナブルな方法で観光をリードしている都市として注目をあびています。

今後ドゥブロブニクを訪れる際は、都市の持続可能性を促進するために少しでもできることを探してみてください。エコフレンドリーな観光をしたい人なら、たくさんの方法が考えられるはず!例えば、1年の初めと終わり頃は観光客が少なく、その分環境負荷を減らすことができるのでおすすめの観光シーズンです。また、ドゥブロブニクに滞在するだけでなく、近くの農村を訪れてみてはいかがでしょうか。農村での生活を体験できるアグリツーリズムも選択肢の一つ。アグリツーリズムについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご確認ください。

コロナ禍により持続可能性を重視して動き出した都市は、今回ご紹介した例だけではありません。どうやらパンデミックは、オーバーツーリズムに終止符を打ち、よりサステナブルな未来を創造するのに一役買っているようです。



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