
危険にさらされている地球の宝!
世界文化遺産の危機遺産リスト
ユネスコ世界文化遺産。国境を超えて守られるべき地球の宝。誰もが一度は耳にしたことがあるであろう場所も多い世界遺産。世界遺産として認定されるやいなや、瞬く間に世界中でその名を知られることになります。しかし、これらの中には、様々な理由で存続の危機に瀕している遺跡も多く存在しています。
今回は世界文化遺産とは何か、なぜ危険にさらされているのか、詳しく見ていきたいと思います。
世界遺産とは?
世界遺産とは、国連の一部であるユネスコによって、文化的、歴史的、あるいは科学的に大変価値のある場所だと認定された遺跡のこと。世界遺産の認定を受けることは重要なステータスで、所有する国々にとっても大変名誉であり、その地域の知名度を高めることにもつながります。
なぜ危険にさらされているの?
ユネスコが「危機に瀕している」と危惧する理由はさまざま。遺跡に関連する人々や周辺の生態系に危険の恐れがあったり、遺跡そのものが破壊される可能性があるなどがあります。特に文化遺産においては、内紛や戦争の脅威に脅かされているケースが多いようです。
要チェック!世界文化遺産の危機遺産リスト
それでは、ユネスコが作成した「危機にさらされている世界文化遺産」リスト(2021年10月現在)
とその理由をチェックしてみましょう。
・アブ・メナ(エジプト):陥没による遺跡の危機
・古都アレッポ(シリア):内戦
・古代都市ボスラ(シリア):内戦
・古都ダマスクス(シリア):内戦
・クラック・デ・シュヴァリエとサラディン城(シリア):内戦
・パルミラの遺跡(シリア):内戦
・クーリナの古代遺跡(リビア):リビア内戦
・レプティス・マグナの古代遺跡(リビア):リビア内戦
・サブラータの古代遺跡(リビア):リビア内戦
・ガダーミスの旧市街(リビア):リビア内戦
・タドラート・アカカスのロックアート遺跡郡(リビア):リビア内戦
・アッシュール(カラット・シェルカット)(イラク):イラク戦争での貯水池建設遅延による保全不足
・ハトラ(イラク): 軍事・武装グループの活動
・都市遺跡サーマッラー(イラク): イラク戦争と周辺住民への危機
・ポトシ市街(ボリビア):地元鉱業による地盤危機
・コロとその港(ベネズエラ):豪雨による遺跡破壊の危機
・バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群(アフガニスタン):軍隊、テロリストによる遺跡破壊の危機
・パナマのカリブ海沿岸の要塞群ポルトベロとサン・ロレンソ:都市開発による整備不十分
・ヘブロン/アル・ハリール旧市街(パレスチナ):軍事活動
・シャフリサブス歴史地区(ウズベキスタン):都市開発による歴史的建造物や周辺環境の破壊危機
・ウィーン歴史地区(オーストリア):都市開発
・古都ザビード(イエメン):歴史的建造物の老朽化
・サナア旧市街(イエメン):内戦
・シバームの旧城壁都市(イエメン):武力衝突と周辺住民への危機
・ジャムのミナレットと考古遺跡郡(アフガニスタン):遺跡保護と維持管理の不備
・コソボの中世建造物群:遺跡保護と管理不十分、政情不安
・ナン・マドール東ミクロネシアの儀式の中心地:遺跡内水路、既存構造物の維持管理不足
・エルサレムの旧市街とその城壁群:都市開発による遺跡管理不足
・ジェンネ旧市街(マリ):歴史的な町並みと遺跡の劣化
・トンブクトゥ(マリ):宗教団体による地域安全の危機
・アスキア墳墓(マリ):宗教団体による地域安全の危機
・カスビのブガンダ王国歴代国王の墓(ウガンダ):火災による破壊危機
・パレスチナオリーブとワインの地−エルサレム南部バティールの文化的景観:都市開発の計画不十分と自然保護の維持管理不足
・ロシア・モンタナの鉱山景観(ルーマニア):採掘活動による遺跡劣化の危機
・チャンチャン遺跡地帯(ペルー):自然の侵食による遺跡被害
世界文化危機遺産を守るために
これらの文化遺産を守るために、私たちができることは何でしょうか。その一つが、世界遺産の保護活動をしている現地NGOへの寄付。寄付ではない形で貢献したい!という人は、これらのNGOにボランティアとして参加することも一つの選択肢。場所にもよりますが、様々な種類のポジションがあるので、未経験であっても十分力になれるはず。時間に余裕のある人はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
また、次の旅に世界遺産への旅を計画している場合には、必ず予約する前にこれらの場所が安全かどうか、入念に調べましょう。中には、旅行者の安全が十分に担保できない地域もあるため、くれぐれもご注意を。安全が確認できた場所については、環境や地域に配慮したエコツアーを探して参加してみてください。エコツアーでは、現地ガイドを起用し、旅行代金の一部を遺跡の保護に充てているものもあります。危機遺産を守るためにも、地球にやさしい選択を考えてみてくださいね。
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