
海外で参加できる
野生生物・環境調査ボランティア
世界中の環境保全の必要性が高まるにつれて、情報やデータの必要性も高まっています。世界中の様々な環境問題を解決するには、それぞれの問題について調査を行う必要があります。しかし、世界中で多くの調査をするには、専門家だけでは手が足りないのが現状です。
科学的な調査では、必要なデータを収集するために、より多くの目や人手を必要とします。そこで、この数のギャップを埋めるため世界中で活躍しているのが、一般の市民の調査ボランティア。
経験豊富な研究者の科学的専門知識と、一般市民による環境ボランティアや自然愛好家の数と熱意を合わせた調査活動は、海外では「シチズン・サイエンス(市民科学)」と呼ばれています。これら2つのグループを合わせて市民科学者と呼び、問題の特定や解決策の構築に使用できるデータを収集します。
シチズン・サイエンスとは
シチズン・サイエンスの世界最大のハブの1つであるSciStarterは、シチズン・サイエンスを「科学者と、好奇心や関心を持ち、違いを生み出す意欲のある私たちとのコラボレーション」と定義しています。
あらゆるバックグラウンドの人々が参加できるのがシチズン・サイエンス。調査ボランティアは、全員に同じやり方を教えられるので、データには一貫性があり、信頼できるものになります。
自宅で参加できるものもあり、人気のシチズン・サイエンスプロジェクトには、オーデュボン協会のクリスマスバードカウント、世界中で活動しているシティネイチャーチャレンジコンテスト、Zooniverse.orgなどがあります。
調査ボランティアに参加する方法
こういった調査ボランティアに参加したいと思った場合、どうすれば良いのでしょうか。海外旅行の一部の期間だけ調査に協力したいと思った場合はどうでしょうか。
以下にご紹介する3つの市民調査ボランティアの主催団体は、海外旅行中に一般旅行者が調査データ収集に参加するプログラムを提供しています。事前の経験は必要ありません。ほとんどの旅行は1〜2週間の長さですが、プログラムによって異なるので自分のスケジュールに合うものがあるか確認してみましょう。各団体のウェブサイトからオンラインで申し込むことができます。
アースウォッチ
おそらく世界で最も有名なシチズン・サイエンスの調査グループであるアースウォッチ。気候変動から海洋汚染、野生生物や生態系の保全に至るまで、さまざまな環境問題に焦点を当てたプログラムを提供しています。各プログラムは、チームが調査を実施する前に、必要なスキルと実践トレーニングをすることから始まります。
アースウォッチには、15〜17歳の若者向けのプログラムも。さらに、日本ではアースウォッチ・ジャパンが日本語サイトをオープンしているので、プログラムも探しやすいのが特徴です。2021年と2022年のプログラムの申し込みはすでにスタートしています。
バイオスフィア・エクスペディションズ
もともと野生生物保護の非営利団体であったバイオスフィア・エクスペディションズ。絶滅危惧種に関するデータを収集するため、遠隔地で行われるプロジェクトに世界中で募集をかけて市民科学者を集めています。危険にさらされている野生生物を保護するため、集められた市民科学者のチームは、現地のNGOやレンジャー、地域コミュニティと協力しながら活動を行います。
COVID-19のパンデミックにより、バイオスフィア・エクスペディションズのすべてのプログラムは2022年まで延期されています。
Lindblad Expeditions-ナショナルジオグラフィック
一味違う調査ボランティアがこちら、南極海でのLindblad ExpeditionsのBioBlitz。ナショナルジオグラフィック・エクスプローラの旅行の一環として、参加者はBioBlitzに参加することができます。BioBlitzとは、短い期間にできるだけ多くの地域固有種の写真を撮って、その固有種が何なのか識別する競争のこと。識別されると、写真はアプリiNaturalistにアップロードされ、世界中の研究者が使用できるようになっています。
サウスジョージア、フォークランド諸島、南極などの地域は非常に遠く離れているため、これらの場所での観測は、地域の生態系が健全かどうかを判断する上で非常に貴重なデータになります。パンデミックの前は、アラスカのザトウクジラ、南太平洋のサメ、南極半島のマイクロプラスチックなどの調査が企画されていました。
世界中で様々な調査が行われており、人手が必要とされています。普通の旅とは違う経験、思い出が出来そうですね。また海外に旅行できるようになったら、野生動物や環境のためになる調査に参加してみませんか?
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