
日本のエアラインも始めている
カーボンオフセット・プログラム
サステナビリティ(持続可能性)は、昨今、旅行業界だけでなくさまざまな業界が力を入れている分野。しかし、私たち旅行者が持続可能な選択をしたいと思っても、その選択肢がないことも。特に飛行機での移動はサステナビリティに反しているのではと心が痛む人もいるかもしれません。そんな航空会社もサステナブルな燃料の使用割合を増やしたり、カーボンオフセット・プログラムをスタートし、できる限りサステナブルに運営しようと努力をしています。
今回は、私たちのカーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)を最小限に抑えるのに役立つ、日本のエアラインが実施しているプログラムをチェックしてみましょう。
カーボンオフセット・プログラムとは、基本的に企業や団体が、大気中の二酸化炭素を削減または除去するプロジェクトを支援することによって、温室効果ガスの排出量を補償するために実施する取り組みのこと。こういったプログラムは、持続可能な開発や二酸化炭素削減の取り組みをするプロジェクトに経済的に貢献することで、飛行機を利用した旅行などの活動が環境に与える影響を軽減・相殺できるように設計されています。
日本航空
日本航空(JAL)は、「JALカーボン・オフセット・プログラム」という独自の取り組みを行っています。この取り組みは、乗客が支援する複数の環境にやさしいプロジェクトに貢献することで、航空機から発生する二酸化炭素排出量と温室効果ガス排出量を自主的に相殺するというもの。日本航空は、包括的な認証基準によって検証された、世界中の環境にやさしいプロジェクトを厳選している気候テクノロジー企業CHOOSEと提携しました。このプロジェクトを通して、ペルーのウカヤリにおけるニイ・カニティ・コミュニティ森林管理や北海道の美深における美深森林管理などに貢献しています。
日本航空は、利用者が搭乗したフライトによって排出されたCO2の正確な量を計算し、それを補償するための炭素クレジットの購入を支援しています。
全日本空輸(ANA)
ANAは、世界的に有名なスイスの企業であるマイ・クライメート・ファウンデーションと提携している、ブルー・ドット・グリーンによって運営されているグリーン・プロジェクトに参画しています。現在、富士山麓に広がる森林を整備・管理する「山梨の森づくりプロジェクト」といった独自のプロジェクトを実施しているブルー・ドット・グリーン。他にも、ブラジルのカティンガン・メンタヤ・プロジェクトやREDDプロジェクト、ペルーのナッツ伐採権などがあります。
ブルー・ドット・グリーンのプロジェクトの多くはゴールド・スタンダード認証を受けており、その信頼性が保証されています。
クールエフェクト
クールエフェクトは、世界中で環境プロジェクトを立ち上げ、支援している組織。彼らのカーボンオフセット・プログラムは、ゴールド・スタンダードによって検証され、資金が適切な人の手に渡ることを保証しています。ここでは、自分が支払いたいと思う金額を選べるさまざまなプロジェクトのカーボン・クレジットを購入することができます。
企業の日常業務の他、地域やその他のイベントにおいて、二酸化炭素排出量を相殺する手助けをしているクールエフェクト。通常の旅行者であっても、第三者によって検証済みの環境プロジェクトに貢献することができます。利用方法もシンプルで、貢献したいプロジェクトを選択し、自分のフットプリント(単位:トン)を手動で追加し、そこから進めるだけ。
クールエフェクトのウェブサイトでは、必要な情報を入力すれば、二酸化炭素排出量を計算してくれるので便利。その排出量に見合ったオフセット料金を支払うことができます。この計算機を使って航空券オフセット・プログラムを利用すると、寄付金はすべてのプロジェクトに均等に分配される仕組みになっています。
1988年に事業を開始し、価格の透明性を重要視しているクールエフェクト。戦略的に炭素排出を制限することによって気候変動を最小限に抑えるという目標を達成するため、コミュニティ形成にも情熱を注いでいます。
カーボンオフセット・プログラムは、自然と人間の活動のバランスを保つ1つの方法です。とはいえ、この方法はあくまで代用方法の1つ。可能な限り、より環境にやさしい選択肢を選ぶべきであることは間違いありません。企業にとっても、私たち個人にとっても、エネルギー効率、再生可能エネルギーの導入、持続可能な慣行を通じて、炭素排出を最小限に抑える努力を優先することが重要です。現時点で私たち旅行者が貢献できる方法として、カーボンオフセット・プログラムは、より持続可能な未来に向けた一歩として捉えることができるかもしれません。次から飛行機を使った旅行をする際は、カーボンオフセットしてみませんか?
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