
気候変動対策につながる環境に優しい
カーボンニュートラルツーリズム
近年、異常気象や、干ばつ、海面上昇など近年地球温暖化が原因とされる環境問題が頻発に発生しています。そのため、世界全体で協力し合い、温室効果ガスを出さないようにする動きが出てきています。旅行業界でも同様の動きがあり、カーボンオフセットを旅行のオプションとして選べるなど、環境に優しい旅行、カーボンニュートラルな旅が増えてきています。
気候変動の現状
皆さんご存じの通り、気候変動による環境への影響は年々顕著に表れています。現時点で世界の平均気温は今後一世紀で2.5℃~10℃の気温上昇が予測されています。
このような事態を防ぐためには、温室効果ガス、特に二酸化炭素の排出量を減らしていくことが必要不可欠です。気候変動への対応には二つのアプローチがあります。一つは「緩和策」、そしてもう一つは「適応策」。緩和策は大気に流れる温室効果ガスを抑制し、適応策は現状の気候変動と共存し、適応していく方法です。
今回は、適応策にあたるCO2排出量ゼロの旅行の形「カーボンニュートラルツーリズム」をご紹介します!
カーボンニュートラルツーリズムとは?
実は、カーボンニュートラルの定義は国によって異なっています。日本の場合は環境省が定義しており、「カーボンオフセットを更に進め、企業の事業活動や国民の日常生活などから排出される温室効果ガス排出総量を丸ごとオフセットする取り組み」となっています。
・・・ちょっと難しいですね。
まず、カーボンオフセットとは何を意味しているのでしょうか。
カーボンオフセットは、できるだけCO2など温室効果ガスの排出量を削減する中で、どうしても排出されてしまう温室効果ガスの量に対して、それに見合う分温室効果ガスの削減活動に投資して実質的な排出量の埋め合わせをしようという考え方です。
カーボンニュートラルは、この取り組みをさらに促進するということなので、カーボンオフセットの進化系といえます。つまり、カーボンニュートラルツーリズムは、旅行をすることによって発生するCO2に対し、削減活動に投資することでCO2排出量を相殺する観光のことをいいます。
どんな仕組みでCO2の生産をゼロにするの?
カーボンニュートラルツーリズムを積極的に採用している国があります。そういった国々ではどのようにCO2の排出をゼロにしているのでしょうか。
コスタリカ
国家プロジェクトとしてカーボンニュートラルに取り組んでいるコスタリカ。旅行の際に同時に、カーボンオフセットを購入することを勧めています。つまり、コスタリカに来る際は、航空券を買う際に航空会社を通じてカーボンオフセットを購入してください、
と旅行者にお願いしているのです。これによって植樹や大気中からCO2を削減する活動などに投資することが出来ます。そして、コスタリカはFonafifoという金融基金と連携し全国の持続可能性イニシアチブに資金を提供しています。
コスタリカは国全体で環境問題に対し積極的に活動しています。日本も見習える点はたくさんありそうですね!
ブータン
ブータンでは、カーボンニュートラルなツアーパッケージがあるのに加え、自分の興味・関心に合わせてツアーをカスタマイズできます。
ブータンの「CARBON NEUTRAL BHUTAN TRAVEL」というカーボンニュートラルの旅行会社では、ライセンスを持った地元のツアーオペレータが環境に優しい旅行を提案しています。例えば、移動の距離が少なくなるような旅程にしたり、電気自動車を利用したり。つまり、この会社でツアーを予約した場合、ツアーをカーボンニュートラルになるよう設定してくれるので、エコな旅行を手軽に実現できるのです。
また、持続可能な旅行を推進する事業者と提携して、地域のコミュニティーと旅行者双方に利益が確保できる旅行を企画できるので、社会的且つ環境的に持続可能な旅行をすることができます。
個人レベルのカーボンニュートラルツーリズム
ここまで、各国で取り組んでいるカーボンニュートラルツーリズムについてご紹介しましたが、もちろん、私たち自身で環境に優しい旅行にすることもできます。
よりエコなフライトにする
実は、飛行機の離着陸時のCO2排出量は全体の25%を占めています。つまり、飛行機で飛ぶ回数を少なくできれば、CO2排出量が大きく削減できるようになります。例えば、経由便ではなく直行便を選んだり、短期間の旅行を3回するのではなく長期の旅行1回にしたり、新型の飛行機を選んだりすることで環境への負荷を抑えられます。また、日本航空では2022年から、家庭ごみを原料としたバイオジェット燃料の利用が始まります。このように環境に配慮したフライトを選ぶことで自分の旅で排出されるCO2の量を削減することができます。
環境に配慮した宿泊施設を選ぶ
ホテルでは、たくさんのエネルギーが消費され、平均的な水の消費はホテル一室で一日当たり825リットルに及ぶと言われています。
現在、いくつかの環境評価システムが設定されており、世界全体の評価基準であるISO 14001や、LEED認定などが適用されています。環境に優しい旅をするなら、環境評価の認証を取得したホテルを選びましょう。
実は、日本でも年々増加している認定ホテル。
他にも、日本環境協会が環境に配慮した旅館やホテルの認定基準を新たに定めているので、ぜひ宿泊先選びの参考にしてみてください。
このように、私たち一人一人が環境に配慮した旅行の選択を心がけることも、CO2排出量削減への重要な対策になります。
こちらの過去記事持続可能な観光のメリット、ラグジュアリー旅行:環境に配慮した滞在がスタンダードに、もぜひご覧ください!
環境に配慮した旅行を!
他国では、CO2排出量実質ゼロの旅行が始まっています。コロナが収束し国外に旅行できるようになった時には、環境に配慮した旅行をしたいですね。CO2排出ゼロの旅、カーボンニュートラルを意識して今後の旅のプランをたててみてはいかかでしょうか。
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【Tam】
気候変動の分野に関心を持ち、持続可能性の促進に向けた体制作りを勉強中。
様々な分野でのサステナビリティを目指し、エコツーリズムも一つの方法として発信している。

