
日本人のサステナブルな旅行への意識
コロナ禍前の調査ですが、Booking.comが行った「サステナブル・トラベル」(旅行先の環境やコミュニティに配慮した旅行)についてのオンライン調査で、日本人と世界のサステイナブル旅行への意識の違いに関する興味深い結果が出ています。
アンケート自体は、Booking.comが独自に行ったもので、世界18の市場で合計1万8,077名(内訳:ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、日本、メキシコ、オランダ、韓国、スペイン、台湾、アメリカ、イギリス、からそれぞれ1,000名以上、イスラエルから883名)を対象にしたもの。
(回答者は18歳以上で2018年に1回以上旅行をし、2019年の旅行に関して少なくとも1回以上決定をした主要な人物またはその決定に関与した人物であることが条件。2019年2月~3月に実施)
この調査で、今後1年間の間に「エコな宿泊施設、または“グリーン”な宿泊施設に1回以上滞在する予定である」と答えた旅行者は、なんと全体の73%。毎年行っているこの調査、このように回答した旅行者は4年連続で増えていて、日本でも同様の傾向が出ていたそう。
環境に優しい取り組みをしているホテルを選ぶか
しかし、自分がエコな宿を探しているかを問わず、「宿がエコに配慮していることを知った場合、その宿を予約する可能性は高くなるだろう」と答えた旅行者は全体の70%に対し、日本人だけで見ると宿のエコ配慮の有無による宿の予約の可能性は36%と、約半分の割合に。
また、全体の約4分の3(72%)が宿泊施設のエコラベル(地球環境の保全に役立つと認定された商品につけるマーク)の存在を知らないと回答していますが、日本ではそれを上回る84%が知らないという結果に。日本では海外と比較して、サステナブルな宿泊の認識・意識の低いという結果が見受けられました。
さらに、旅行者にサステナブルな旅行を促すためにはどんなことが効果的かという質問では、世界の旅行者の46%が「エコフレンドリーな旅行を選択した人への経済的なインセンティブ(税優遇措置など)」と回答しており(日本:29%)、そして45%が「エコフレンドリーな宿泊施設や交通機関の選択肢が比較しやすいオンライン予約サイト」と回答しました。(日本:29%)
一方、旅行者の約半数(世界:46%、日本:43%)は、「日常生活よりも旅行中の方がサステナブルな選択を行うことを難しく感じる」と回答。また、世界の旅行者の約3分の1(31%)、日本の旅行者の34%にとって「旅行は特別な時間であり、サステナビリティについては考えたくない時間である」ようで、日本も世界と同じくらい割合で、サステナブルな選択をすることに消極的な人々が一定数いるようです。
旅行先での過ごし方に関しては、世界の旅行者の52%が「サステナビリティを高めるために旅行中の行動を変え、可能な限り徒歩や自転車の利用、ハイキングを行うようになった」と答えました。さらに、世界の旅行者の68%が「旅行中に使ったお金を現地コミュニティに還元してほしい」と回答しており、「旅行中は現地の文化を代表するような本格的な体験をしたい」と答えた旅行者は世界で72%。また、世界の旅行者の41%は、「旅行中によりサステナブルな行動をとるためのアドバイスを旅行会社から得たい」と述べています。また半数以上の人は(56%)、「滞在する宿泊施設のカーボン・フットプリントを相殺できる方法があるなら実行したい」と考えています。
一方日本の旅行者のこれらの回答をみてみると、軒並み低いことがわかります。日本人は世界の旅行者に比べ、サステナブルな旅行への意識が低いように見えます。というより、旅行と、環境保護や地域への利益還元などサステナビリティ(持続可能性)を関連づけていない、サステナブル+旅行という発想を持っていない人が多いのかもしれません。
そもそも、旅行だけに限らず、一般的に日本では環境への配慮についてあまり浸透していない可能性もあります。
日本の文化はサステナブル?
突然ですが、あなたの周りに日常的にエコロジーを心がけて日々行動に移している人は何人いますか?毎日の生活の中で、環境問題に関連づけて気をつけていることはありますか?例えばヨーロッパ、筆者の住んでいるフィンランドでも、かなり前から社会全体でペットボトルのリサイクルやエコバッグの活用、エネルギーの使いすぎ注意喚起などが当たり前に行われており、企業だけでなく一般の人もも、何をするにも環境への配慮は当然のこと、という意識を持って生活しています。
日本は「もったいない」などといった物を無駄にしない文化もあります。しかし、環境について全く考慮していない例がいくつもあります。
例えばアパレル用品店で洋服をビニール袋に入れた後、紙袋に入れたり、箱に入れた和菓子をビニールに入れた後、紙袋に入れたりする過剰包装。雨の日になると紙袋や新聞までもビニール袋で包まれますね。あれは本当に必要でしょうか。お客様第一で、相手のためを思ってやっていることと思いますが、環境やゴミの観点からいうと明らかにマイナスです。逆に客であるこちらが、毎回「要りません」と言わなければならないので、サービスとしてもマイナスになるのではないでしょうか。そして、スーパーのレジ袋が有料化されたことで、スーパーのビニール袋を大量に持って帰る人がいるということ。有料化には、環境保護的な意味合い、大量のプラスチック袋のゴミ削減という目的もあったかと思いますが、これでは本末転倒です。
もちろん、日本でも環境について考えた行動をとっている人もいます。しかし、大多数の人があまり考えていないとしたら、行動に移していないのだとしたら、旅行だってサステナブルに!という意識が薄いということも理解できるような気がします。
日本でも、環境への意識は徐々に高まってきているので、Ecotourism Worldでは、これからもサステナブル旅行を行う方法や、どんなメリットがあるか伝えていきたいと思います!
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