
世界遺産は形あるものだけじゃない!
ユネスコ無形世界遺産の魅力
ユネスコの世界遺産はよく知られていますが、無形世界遺産(または無形文化遺産)があるということは、あまり知られていないかもしれません。無形文化遺産は「共同体、集団、場合によっては個人が文化遺産の一部として認識する慣習、表現、表現、知識、技能、およびそれらに関連する道具、物、芸術品、文化空間」のこと。2003年、無形文化遺産の保護、振興、継承を図るために「ユネスコ無形文化遺産の保護に関する条約」が採択され、そこで「無形文化遺産とは何か」が定義されました。
無形世界遺産は、グローバル化、都市化、自然災害、政情不安など、脅威にさらされやすいものばかり。そして、若い世代が伝統的な生活様式を捨て、より現代的なライフスタイルを好むようになったことで、多くの無形文化的慣習が消滅の危機に瀕しています。また、気候や、天然資源に依存する漁業や農業の伝統など、無形文化の慣習はさまざまな問題に脅かされています。
そんな環境の中、無形文化遺産を保護・振興するため、ユネスコ(国連教育科学文化機関)は、国別無形文化遺産リストの作成、保護計画の策定、伝統的慣習や知識の普及など、さまざまな取り組みを展開しています。そして、無形世界遺産を推進・維持するためにも、観光はユネスコに奨励されています。
無形世界遺産の例
無形世界遺産とはどんなものがあるのでしょうか。
無形世界遺産には、世代を超えて受け継がれるさまざまな慣習、信仰、伝統が含まれています。今回はユネスコの無形文化遺産リストから、いくつかの例をご紹介します。
中国書道
中国の伝統芸術である書道は危機に瀕している無形世界遺産の1つ。筆と墨を使い、複雑で美しい文字を描くこの古代の芸術は、数千年前から行われてきました。しかし、近年、デジタル技術の台頭により、若い世代がこの伝統的な芸術である書を練習することに抵抗があり、書道は衰退しています。
歌舞伎
17世紀初頭から続く日本の伝統芸術である歌舞伎も、消滅の危機に瀕しています。豪華な衣装や化粧、様式化された動きで知られ、歴史や神話の物語を題材にすることが多い歌舞伎。演者は誇張された表情や動きで感情や動作を表現します。歌舞伎は、そのユニークな芸術的・文化的価値と、人々を日本の豊かな文化の歴史に結びつけるということで世界文化遺産として認められています。その他の日本の無形文化遺産はこちら。
ガリフナ
もう一つの例は、中米のガリフナ族の音楽とダンス。ガリフナ族は、何世紀にもわたる抑圧と差別にもかかわらず、文化的伝統を守り続けてきたユニークな民族です。彼らの音楽と踊りは、文化的アイデンティティに欠かせないものですが、こうした慣習は、移住や文化的同化によって危険にさらされています。
無形文化遺産は、世界中の文化の多様性や創造性を感じることのできる人類の貴重な宝。しかし、無形文化遺産はさまざまな脅威により消滅の危機に瀕しています。旅行者が旅先で現地のユニークで貴重な文化体験をすることで、私たちは無形文化遺産を支援し、次世代に残すことができます。
今度旅行するときは、ユネスコのホームページで旅先の無形文化遺産のリストをチェックして、無形文化遺産を体験できるアクティビティを探してみてはいかがでしょうか。
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